バローズ

 「火星のプリンセス」読了。図書館の「無料持ち帰りコーナー」に置いてあって、ありがたく頂いた本がこんなにも面白かったことは、福島正実の「SF散歩」以来だ。「SF散歩」は読後にyahooオークションで¥700-で売れたので、二度おいしかった(売ったんか)
 火星シリーズは初めて読んだ。なにせかなり長い間この作者と「裸のランチ」の作者のバロウズを同一人物だと思いこんでいた自分だけあって、かなりヒドイ先入観「だってターザンの人だろ?」を持っていて食わず嫌いだった。いや、ターザンも「アーアアー」のイメージとはかなり違い、原作は傑作だと言うことだが(まだ読んでないのか)とにかくマヌケな自分が恥ずかしいほどの大傑作だ。
 いまさらいうなとコアなファンからは非難されそうだが...
 なんかチョット頭がいかれかかっているのではないかと思えるほどの、なんという想像力。すっかりクラクラである。アリゾナの洞穴で行き倒れたジョンカーターがいかにして火星の大地にたどり着いたか。普通は秘密の亜空間通路なんかが洞窟にあって、そこを通り抜けたら火星だったと(いかにも「十二国記」的な)展開を予想していたのだが、まさか幽体離脱的に飛び上がって自力(?)で火星に到達するとは...いきなりたまげた。自分の想像力の貧困さに恐縮した。いろいろ吃驚な火星描写とカーターの大活躍があり、めでたしめでたしと終わると思って油断していたら、あと10ページくらいでお終いというときに、火星の惑星存続に関わる大事件が起こる。おいおい、事ここに至っては、どのようにして収拾をつけるんだと思ったら、カーター気絶した勢いで地球に戻っちゃいました。
 え?コレで終わり?
 このままでは自分も収まりがつかない。続編が沢山出ているので、コレは続きを読まなければ。本屋へ行ってみた。ない。ないないない。火星シリーズどころかバローズが一冊もない。コレは一体どうしたことか?東京創元社さん。しばらく他の文庫を奥付、既刊本の紹介ページをぱらぱらめくると、やっとありましたスミスの「レンズマンシリーズ」の最後のページに「火星シリーズ合本」として、竹部本一郎画伯の壮大な挿し絵と共にリニュウアル出版と広告が。もっともこの本屋さんにはなかったが。困ったときの市立図書館と言うわけで、図書館サイトで検索すると閉架扱い。と言うことは、あるんだな図書館に...よし、十二国記シリーズも読み終えたことだし、次のターゲットは「火星シリーズ」決まりだな。
 ...どうもはまっちゃったようです。