葦沼

 先日の日曜日、何とも妙なタイトルの記録映画を見た。30分ほどの短い作品。見た場所は「県立科学博物館」娘に「おまえプラネタリュウム見たことないだろう。見に行こう、是非見に行こう。面白くてたまらんぞ。星座も沢山出て来るぞ。プラネタリュウム見ないと大人になれないぞ」と無理矢理プラネタリュウムを見に連れていった。賢明な皆様ならおわかりでしょうが、実は自分が見たかったのです。県内では多分、県立科学博物館にしかプラネタリュウムは無かったはず。
 そこで無料ビデオブースというのがあった。ライブラリ数はショボイほど少ないのだが、その中の一品が先出の「葦沼」だ。タイトル見ただけでは何の事か訳が分からないであろうが、日本有数の穀倉地帯である新潟県の稲作の変遷をつづった映像ドキュメンタリーなのだ。一体何年ぐらい前の作品だろう。映像がしっかり残っているのだから、少なくとも昭和初期であるとは思われるのだが。
 極端に治水が悪く、かつ、信濃川阿賀野川に挟まれた現新潟市付近の「田」はシャレにならないくらいひどい土地であった。腰どころかほとんど「泳ぐ」と言っていいくらいの格好で土地に苗を植えていくのだ。田なのか沼なのか訳が分からない。まさに底なし沼。そんなところでの稲作なのだから、収量などはまさにお天気次第。台風一丁で収穫台無しだ。なんでこんな困難なとちで稲作しなけりゃいかんのか?まるで賽の河原の小石積みだ。
 その時ハタと気が付いた「新潟」の「潟」という文字は、いわば「湖」みたいなもの。毎年台風が来るたびに新たな潟ができる土地。昔の新潟とはまさに文字を地で行く土地だったのだ。未開どころか、ただの沼地。
 歴史の時間で習った覚えがあるが、ペリーが来航したころ、外圧に屈して日本の数カ所に港を開いて外航船の入港をゆるしたが、そのうちの一つが「新潟」だった。真に受けてやって来た外国からの船が新潟にやって来て「しまっただまされた」と思ったことは想像に安くない。
 衝撃のドキュメンタリー「葦沼」これだけを見れただけで県立科学博物館に来た値打ちはあった。
 え、肝心のプラネタリュウムですか...プラネタリュウムを撮す機械はよかったですよ。まるで宮崎駿のアニメに出てきそうな、レトロ感一杯の機械でした。欲しかった(←おいおい)しかし肝心の内容はショボイ絵の家族が出てきて、まるで紙芝居(アニメですらない)の用にお話をしながら、望遠鏡の選び方などを解説してくれました。てか
 もっと星を見せろ!!ゴルア
 というくらい、ぜんぜん星空を写してくれませんでした。プラネタリュウムなのに...なんでやねん。二度と見ない。せっかくのプラネタリュウム投影機が台無し。だれがあんな内容にしようと決めたんだ、ばかもの。
 ところで、あと科学博物館で良かったモノといえば「フーコーの振り子」これはスゴイ。地球は確かに自転しているんだ!!これであと「パブロフの犬」が展示してあったら完璧(←動物虐待)それはともかく、この二つは是非とも科学の教科書への掲載復活を切望する。