いい加減にやめよう澁澤龍彦

 ようやく第三巻の「エロティシズム研究」を新潟への帰りの新幹線で読了する。正直疲れた。そりゃ8泊9日の出張も疲れるが、あきらかに持っていった本の選択を誤った。もっとエンターテイメント色の強い、肩の凝らない本が合っていたであろう。肩が凝りまくったのは、連日の絵付け実演だけが原因ではあるまい。ところで我が家にはもう一冊、読書中の第二巻があるのだが「サド文学研究」この土曜日で貸出期限が一杯だから、とっとと返しに行こう。しばらく澁澤はいいです。
 ところで第三巻に面白い紹介があった。古代からの禁書などを集めた図書館が各国(主にキリスト教圏)にあり、一般にはとても閲覧させられないような本を厳重に管理しているのだそうだ。それらの図書館を称して「地獄図書館」もちろん現在ではかなり自由に閲覧できるらしい。ある国のソレ系の図書館では、閲覧中に拳銃を携帯した職員がずっと後ろに立っているそうだ。気がちってしょうがないだろうな。そのような図書館ができる前は教会の聖職者が内容を検閲して、しっかり管理していた。しかしそんな仕事ばかりさせられたのでは、頭の中にあられもない妄想が渦巻きまくって、聖職者も大変だったであろう。冗談ではなく、魔女裁判の惨劇などにこれらの禁書の影響が皆無だと、一体誰が断言できるであろうか?
 と、散々文句たらたらではあったが、体力万全の時に読むには、結構いけてる本であると思う。このような地獄図書館に蔵書されても当然のような奇書、澁澤龍彦集成が簡単に近所の図書館で貸し出しできるなんて、なんていい世の中なのか。世も末なのか...自分的には「書物に貧富の差なし、全書平等」をモットーとしているので、例えこれがオウムの機関誌であろうと関係ない。むしろ内容を検閲されて焚書してしまう方がはるかに野蛮行為である。内容の判断は各自が勝手にやればいい。本とはそういうものだ。