ピンクフロイドバレエ

 ...........いきなり脱力しそうなタイトル。いや、本当にあったんだって。
 東京出張中はほとんどテレビを見なかったのだが、たまたま見たNHK教育での牧あさみバレエ団公演。演目はかのピンクフロイドの名曲に振り付けるという、神をも恐れぬというか...どうでもいいというか...シャルウイダンスの監督の奥さんもでるみたいだからつい見てしまった。上半身裸の男性とボディスーツの女性がなまめかしく体を寄せ合い踊っているのだかアクロバットなのだか良く解らない振り付けに、フロイドの「ふけよ風よべよ嵐」(御存知アブドラ・ザ・ブッチャーのテーマ)がかかりまくるという内容。真面目に見ると面白くないのだが「おお、この曲にこんな演出をしてきたか」的な楽しみ方ができて、結局最後まで見てしまった。自分大好きな曲「あなたがそばにいてほしい」が使われなかったことが残念である。
 バレエといえば婦女子のたしなみみたいな先入観が未だ強い田舎のオヤジにとっては、出演者の半分以上が男性ダンサーという公演はなかなかカルチャーショックであった。こまかな動きの妙とか突き詰めれば、そこは日本で一、二を争うバレエ団であるから、その関係では超絶技巧な表現などが多々あったのであろうが、いかんせん自分はバレエ素人である。発泡酒飲みながら「この曲でこの演出かい〜!!」と一人で大笑いながら見てしまった。
 なにはともあれ「ピンクフロイドバレエ」と、身も蓋もないタイトルで爆笑してしまった自分の負けである。ひょっとして、こんな人間をターゲットにした作品なのかも知れないし...公演終了後、放送時間があまったのか「ビバルディ四季」にあわせたバレエも紹介されていたが、コレはさらに輪をかけた爆笑モノ。やっている本人が真面目なだけ、よけいおかしい。バレエってこんなに面白いものだったのか?冷静に分析してみると、主題(曲中にしょっちゅう出てくるメロディー)が現れると、必ずそれに合わせた型のダンスを踊る。この「反復」こそが笑いの原因だ。逆をいえば笑って欲しければ「反復」しろということだ。「笑いとは反復である」コレは学生時代に自分の先生が自分の作品を評して言ってくれたありがたいお言葉である。