哀愁のジミー・ウォング

 映画秘宝の「ベストテンなんかぶっとばせ!」という、世間一般的には「最低映画」としてさげすまれている作品たちに限りなき愛情が注がれた本をうっかり読んでしまってから「なんでもいい!とてつもなくくだらない映画が見たい」と先日久しぶりにレンタル屋で借りてきたのが「片腕ドラゴン」御存知ジミー・ウォング主演。え、知らないの?実は自分もよく知らない。
 内容などは聞かないでください。思わず内容はないよう〜とダジャレます。試合で腕を叩き切られてから、特殊な修業(手の神経を殺すため真っ赤なコークスで焼く。その後得体の知れない薬草から抽出した液体に腕をつけ込む)で左手を究極的に鍛え、悪の道場主が雇った奇妙な拳法の達人たちに復讐していく。
 この辺まで見ていてふと気がついた。この映画見たことがある。それもものすごく昔の事だ。アレはブルース・リーの大ブームのころ。もちろん自分もハマリまくり、自宅が木工屋だったことを良いことにヌンチャクまで手作りしてしまっていた頃だ。もちろんブルース・リーは正統派だが、そのころ妙なカンフー物がたくさんあった。ガキだったので、どれがどうなどとは区別がよくついていなかったらしいし、ブルース・リャンとかブルース・リョン?とか妙にパチくさい俳優がたくさんでてきていたこの頃、確か「片腕ドラゴン」をテレビの土曜映画劇場で見たことがある。そう、あの大ブームの頃にはこんな妙ちきりんなドラゴンでもドラゴンであればゴールデンタイムで放送していたのだ。どの辺で思い出したかというと、片腕を鍛えるシーン。なぜかコレが子供心に焼き付いてしまっていたらしい。
 改めてみると、スゴイな。変な俳優しかでていないので、唯一人出ている美人女優も何かしでかしてくれるのではないかとワクワクしていた(結局なにもしなかったが)もちろん敵役の総大将は日本人だ。お約束。バッシング大全開。琉球空手の師匠なのだが、なぜかキバが生えている。コレが強いのなんの。主人公の片腕を叩き切ったのもコイツだが、立ち会いの自然の流れの中であっさり切っちゃったので、切れたというより「義手を落とした」といった感じだ。
 あまりのくだらなさに、当初のもくろみは見事達成したのだが、なぜか観賞後に漂う無力感はなんなのだろうか?「戦いはむなしい」などというおきまりのお題目などでは決してない。


片腕ドラゴン

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