チケットはいらない

「チケットどう?ないの?五千円だよ。じゃ四千円。いいや三千円でどうだ」かなり久しぶりにダフ屋に声をかけられる。
さてさいたまアリーナ脇のスペースにて販売、初日。身も心も冷え切る。都会の春を甘くみすぎた。大丈夫だろうと薄着していった。ところが会場はビルの谷間。壮絶なビル風で震えがとまらない。午後二時を過ぎたころから太陽がビルの陰に入り、日差しがなくなり。寒さに拍車をかける。まるで酷寒地のような場所での販売は、お客も寒いらしく、みんなで震えているため、ぜんぜん稼ぎにならない。隣のテントではよく冷えた生ビールが売られていた...
惨敗模様で終了した初日販売。明日が最終日なのだが、とても今日の惨敗を取り返せそうにないので、ほぼ赤字確定気味である。
さいたまスーパーアリーナには二度とこない!!このように日本国中に二度と行かない予定の土地がどんどん増えていく。
二度とこないのなら、せっかくなので「ジョンレノンミュージアム」を見学する。ほとんどまばらな来場者。しかも三分の一くらいが外国人と思しき団体。彼らも「なぜ日本のさいたまにジョンレノン?」と驚いたであろう。内容はジョンレノンの軌跡を彼の遺品とともに紹介するのだが、展示品が妙に少ない「サージェントペパーズ....」のジャケット撮影時の服(ただし一着のみ)とか、レノンが愛用のギターが5、6本。そして自筆の歌詞原稿。ほかにもいろいろあるのだが、あの巨大な会場にはあまりに少なすぎる。出口にある最後の展示場にはジョンレノンが残した言葉をインスタレーションとして展示してあるのだが...行ったことないけど、相田みつおミュージアムもかくあるのか?と思わせるようだた。面白いことにビートルズ時代のことよりオノヨーコとのコラボレーション(?)時代のことに重きを置いていた。オノヨーコの前衛芸術などはその時代を反映していて面白かった。あの有名なジョンレノンとの出会いのきっかけとなった、来場者が釘を各自一本ずつ打っていくアート(レプリカ)もあった。ま、それなりに面白かったのだが、レプリカとか文献のカラーコピー多すぎ。自分はレプリカ見学に千三百円(千五百円のところ出展者割引)払ったんじゃないぞ...と、憤慨。ジョン愛用のブルースハープといって展示されていたのは、どう見てもぴかぴかの新品でしたから...残念!!(重箱つつきまくり)八百円くらいだったらよかったなと正直思う。
ジョンレノンミュージアムを出ると、そこはものすごい人だかり。何じゃこりゃ?よく見るとMISIAつう人のライブがあるらしい。誰だか知らないけど...さいたま新都心駅へ向かう通路は大混雑。みんなアリーナ方面に進んでいる。その波を逆行して駅へ向かう途中で声をかけてきたのが先のダフ屋である。当日券が買えずに傷心の人に見えたのだろうか?
「俺ファンじゃないから、帰るんだよ」
久しぶりに悪口だらけの暴言。これが今日の売り上げがホクホクだったら見える風景も違っていただろうに。ちなみに自分が売った金額合計は二千九百円...ネットカフェの店員さんのほうが三倍は稼いでいるはず。とほほ...