奇妙な薀蓄(うんちく)

ちょっと前の話になるが、昔馴染みの友達に八年ぶりくらいに会う機会があった。久しぶりの友人は昔とほとんど変わらず、変わり果てた自分とはえらい違いだなあと、ちょっとうらやましくなったのだ。
ところでこの友達は面白いところがあって「人生において何の役にも立たない奇妙な薀蓄を酔っ払うと披露する」人なのである。自分も若いころかなり影響されて..というか、彼の言う薀蓄は話半分で「あ、また面白いこといっているな」と反応するにのだが...
そんなわけで今回久しぶりに再開した際に、どんな新しいネタを披露してくれるかと思っていた。
「知ってるか?インドの九九は三桁まであるんだぞ」
.....え.....
九九といえば「ににんがし、にさんがろく」というあれだ。それが三桁まであるということは「522かける124は」と節をつけて答えを丸暗記しているってこと?そんな馬鹿な。
家に帰った後、じっくり考えてみた。三桁の九九っていったら「1×1」から始まって「999×999」までそれに対応する言い回しがあるってことだよな。すると九九..「9×9」までなら、その数字の組み合わせはまさに9×9だから81通りだ。その原理でいうと999×999は何通りかというと...998001...「ににんがし」ってひとつ言うのに一秒かかるとすると、この三桁の九九を全部言い終わるまでにかかる時間は...277.2225時間...ほぼ11日半...本当にこんな九九が世の中に存在するか?
ってことで、今回彼が提唱した「インドでは九九は三桁まである」これは却下。
ちなみに三桁まであるというのを「100×100」までとすると、全部言いおわるまでには...27時間46分...これもいささか無理っぽい。そこでちょっと考えてみた。「三桁まである」というのは計算の答えが三桁まであるということではないか?これならかなりいい線いくのじゃないか?
実はアメリカだったか、フランスだったか、イギリスだったか忘れたけれど「九九は12の段まである」という話は聞いたことがある。これだと最終段は「12×12」だから全部言うのに2分24秒。あ、これなら十分説得力があるな。答えもめでたたく「144」だし、三桁クリアだ。
こんなことを電卓片手にやっている自分は、ひまです。