「酒気帯び車椅子」中島らも

オビに「遺作まで破天廉」確かこう書いてあった。彼の「バンドオブザナイト」のメチャクチャさに比べたら、ちゃんとストーリーがしっかりしていたので、かなりまともな作品だと思う。
死ぬ半年くらい前だったか、確かNHKだと思ったけれど、中島らもの特集番組をやっていて、そこに写った彼はまるで廃人の様だったことを覚えている。その後に出版された追悼本では病気のクスリの副作用でそんなになったと書いてあったが...そんな状況でも創作意欲は衰えず、自らがペンをもてないので、奥さんに口述筆記をしてもらっていた。作家の執念と夫婦愛だな〜と思っていた。
この遺作だが、当然同じように奥さんから口述筆記してもらっているのだと思うのだが、作中の中で、主人公の奥さんはかなりヒドイ描写で殺されているんだ。
「アンタまさか日頃から私に対してこんなこと考えているんじゃないでしょうね.....」とひと波乱あってもおかしくないような口述筆記風景だな、と。ああ夫婦愛。
沢山残された著作をけっこう読んできたが、やはり中島らもの最高傑作は「今宵すべてのバーで」であり「ガダラの豚」だったりするんだな〜そしてとてつもなく頭のいい人なんだな〜あまりに頭がよすぎて、自滅しちゃった人のように思えてしょうがない。

酒気帯び車椅子

酒気帯び車椅子