「輝く断片」シオドア・スタージョン

自分は高校時代に「原潜シービュー号」と「人間以上」しか読んだことがないのだが、その内容のほとんどが理解不能で何じゃコリャだったので、名作の誉れ高い「人間以上」はなんとか読み終えたが、内容はさっぱりで、「シービュー号」にいたっては30ページで放り投げた。そんな作家であるから、こんな短編集が出ていたことすら知らなかったのだが、いつもの図書館の年間貸出率ナンバーワンだったそうなので、試しに読んでみた。
なんか普通に面白い。
ほとんど難解な文章はなく、理路整然とした語り口に、とても高校時代に読んだ人と同じ人が書いているとは思えなかった。人間年月が経つと文章もこなれてくるのかなあ〜などと思っていたのだが、付録でついていた年表を見るとほとんどが1950〜60くらいにかかれたものであった。
ということは、いかに昔は翻訳が酷かったか、ということだな。
スタージョンといえば「難解」というレッテルはそんな翻訳者たちがつけた自己弁護な存在だったのだと、勝手に解釈させてもらった一冊であった。
アンソロジーなのだが、バラエティに富んでいて、非SFの作品も多い。ただあとがきに「オールタイムベストクラスの作品を多数収録」という誉め言葉をアンソロジーに使うのはやめましょう。大体どんなアンソロジーでもあとがきには「オールタイムベストな作品多数」って、書いてあるんだよな。

輝く断片 (奇想コレクション)

輝く断片 (奇想コレクション)