胃カメラ検査

久しぶりに胃カメラを飲んできた。実に二年ぶり。市役所の集団レントゲン検査で見事に引っかかってしまったのが二年前。その前年も引っかかってしまい胃カメラしたのだが、そのときのひどい体験(ほとんどチマミレ)がどうやらトラウマとなって再び胃カメラ検査するのを拒否してた。だって考えてみてほしい。人間ポンプじゃないんだから、あんなスコープがひょろひょろのどを下って胃まで入るわけないじゃないか。そんなわけで要再検査であったにもかかわらず、ほったらかしだったのだ。
ここ最近、妙に胃が痛い。
ま、もともと接客などは性格に合わないと百パーセント思っているにもかかわらずの催事業。これじゃ体にいいわきゃないよ。わかっちゃいるけどやめられない。そうこうしている昨今、きりきり意が痛くなり始めたのだ。まったく情けない。で、胃カメラだが、以前の検査ではポリープが見つかって「年一回は胃カメラ検査しましょう」ということだったのをほぼ無視してここにいたった。こう痛いとさすがに気になって仕方がない。胃カメラ嫌いとかいっている場合じゃないので、とりあえず市内でも名医と評判の胃腸科へと出かける。
 やはり名医ということで、検査の予約が満杯で二週間後となった。検査予約の日に医院へ行き、準備作業をしてもらう。検査前に注射一本。「胃の薬を止める薬です」...そうですか。看護師さんの走り書きを覗き見すると「ブスコパン」とある。どこかで聞いたことある名前だと思ったら「おたんこナース」第一話に出てきた薬だ(実は薬マニア)そうか胃腸の動きを止める薬だったのか。それから口内に麻酔薬。前やったときは液体を飲み込まずに喉の近辺でコロコロやっていたのだが、今回は冷凍麻酔液だった!これはびっくり。麻酔液を凍らせて、それを口の中でゆっくり溶かしながら、少しずつ飲み込むのだ。これはコロンブスの卵。ごく少量ずつ麻酔が食道に流れ、麻痺するって寸法だ。そして最後の仕上げは喉の奥に向かって麻酔スプレーをシュ!!最後に口に胃カメラ挿入用のアダプター」をくわえて、これで胃カメラ前の準備は万全。
「それじゃカメラ入れますね」えろろろろろえろえろ。自分いきなりえずき反射....
「もう一回やりますので、体の力を抜いてください」えろおえろえろえろえろ。自分再びえずき...
「んじゃ麻酔しましょう」...見切り、はやっ!まだ二回しか試していないのに...もともと喉が過敏でストレス性喘息がしょっちゅうなので、これくらいはしょうがないのだが。
「麻酔すると二時間くらい動けませんけどいいですか」はいはい、もうどんどん打ってください。といいたいところだが、口にはアダプターくわえているので、しゃべれません...激しく頭をウンウンする。用意のいい看護士は三秒で注射を持ってきて、十秒で静脈注射完了...はやっ...
ほんとにこんなので麻酔かかるのかねえ、などと思いつつ、思いつつ、思いつつ...
「イドさん、イドさん、そろそろ起きてください」看護士さんに起こされる。時計を見ると、きっかり丸二時間意識をなくしていた。とっくの昔に検査は終わっていたのである。じつは前日「明日は胃カメラ検査だ」と緊張したせいで、ろくに睡眠取れなかったこともあり、熟睡したみたいだ。こんな便利な麻酔があるなら、もっと早く使ってくれよ。検査後の医師の説明では...
「なんともありませんね、このポリープ」そうなんですか「なんとこの手のポリープにかかるとガンにもならないし胃潰瘍にもなりません」ほんとかよ「そんなわけですから、胃がいたいのも全然問題なし」そうなんすか。それじゃ毎年胃カメラ検査しなくてもいいでしょうかねえ「毎年なんて、気にしなくても三年に一回くらいでいいですよ」市役所の胃のレントゲン検査とかは?「あ、それすると必ず再検査に引っかかりますから、しなくていいですよ」えらい健康太鼓判を押してくれるものだ。
とりあえず、心配事がなくなったのでよしとしよう。大体単純の性格なので、最近はほとんど胃が痛くならなくなってしまった。まったくいいかげんなものだ。
それよりなにより「健康第一」ですな。こうして中年を過ぎるころから、人は健康オタクへの坂をゴロゴロ転がり落ちていくのである。