「バンギャル ア ゴーゴー 上」雨宮処凛

毎週日曜日の新聞に新刊書評が載っているのだが、そこに本書が出ていた。雨宮処凛という名前に引っかかるものがあった。そう、あの「新しい神様」...タイトルではぴんとこないが「ミニスカ右翼」というビデオにあったあおり文句の方が有名な女性だ。いつのまに小説家になっていたんだろう?ネットを調べてみるとかなり精力的に仕事をしているようだ。自分勉強不足だった。
ちなみに「新しい神様」ってこれ↓

新しい神様 [DVD]

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自分もまだ見ていないので、近日中に見よう。
ちなみに公式HP↓
http://www3.tokai.or.jp/amamiya/
どうも自分はこの手の「ちょっとひねった青春群像もの」に弱い。かの名作「ネガティブチェンソーハッピーエンド」や「NHKへようこそ」などの一連の滝本竜彦ものなどだ。バンギャルと呼ばれるビジュアル系バンドの追っかけギャルの青春を描いた本書だが、ソコにあるのは普段の生活では生きている実感を感じられない少女達が、追っかけをしているときだけが生きる実感を感じられるという、一見かなり屈折している状況なのだ。読む勧めるに従って、果たして屈折しているのは彼女たちなのか?いやむしろ普通の世界と呼ばれている世の中のほうがが欺瞞に満ちて屈折しているのではいいかと感じられる。先日読んだ「渋谷」藤原新也でも書いたが、やはりこの主人公も家族、特に母親との関係をうまく築けずにいる。母が悪いとか少女が悪いとかという次元ではなくて、決定的に考え方の違う身内との人間関係の構築は、非常に難しいモノだ。一応本書の主人公は少女の方なので、母親や父親は悪役っぽく書かれているが...冷静に考えればバンドの追っかけをやっていて、無断外泊や万引き、カツアゲやる女子中学生に怒り心頭にならない親がいたら見てみたい。
他の著作を読んでないので何とも言えないが、本書は雨宮処凛の青春の思い出満載なのだろうか。とてもおもしろいのだ。しかも思い入れたっぷりで、400ページを超える大作だ。ところが半分ほど読み進めたところで、フト気がついた。ページの欄外に書名が印刷されてあり、なぜかタイトルが「バンギャル ア ゴーゴー(上)」とある。え、カバーにはそんなの書いてなかったぞ?すると何かい。本書は全体の半分程度で、まだこの後に同じ分量が続くというのか?案の定全部読んでみると、最後に「上巻 了 下巻に続く」とある。
どこまで書き進めれば気が済むのだ、雨宮。
こうなったらおじさんは最後までつきあうから、とことん書き進めなさい。
というか、ひょっとしてまだ作品が書き終わっていないうちに、表紙の印刷ができあがってしまったのだろうな...初版が完売して重版となればきっとタイトルも「バンギャル ア ゴーゴー(上)」と変わるであろう。将来貴重な初版本となるかもしれないので、雨宮ファンはぜひ購入することを勧める。ちなみに自分は図書館から借りた(←おい)
いま、はまぞうでリンクしようと調べたら、下巻もすでに発行済みではないか?シマッタすぐ図書館へ行かなくては!!
バンギャル ア ゴーゴー 上

バンギャル ア ゴーゴー 上