「紙屋悦子の青春」黒木和雄監督

黒木和雄監督の遺作。というか、この人の作品を他に見たことがない。公開当時、爆笑問題太田光が大絶賛していたので気になっていたのだ。そして主演はモチロンわれらが原田知世さんである(←キター)
原田さんはこの映画で20歳くらいと80歳くらいの女性を演じている。80歳を演じているときも特殊メイクなし。20歳の時もナチュラルメイクのみ。それでも20歳くらいに見えてしまうところが...すみません、ぜんぜん見えません。
この映画はどうも原作があって、ソレが演劇脚本らしいのだが...妙にカット割り少ないし、シーンもほんと少ないし、やたらな撮影が長回しだったり...あ、そうかコレは映画だけど、
演劇なんだ。
演劇なら演劇を見るメソッドってのがある(というほど演劇見てません、失礼)映像の文法ってモノがあって、それを理解すると映像の世界観が劇的に変わる。
わかりにくい?
じゃ、コレだ。いわゆる「見立て」というヤツだ。歌舞伎などで演者が「これは、こうだから、こうみるように」というもの。もっとわかりにくい?じゃ怪獣映画で飛行機にたとえピアノ線が見えたとしても「それはなかったこと」とする。ソレを見立てという。書き割りのへたくそな絵でも、ソレがいったん背景と認識されたら、ソレは背景。
想像力を使って、脳内見立てで一生懸命補完しながら見なければならない。それがうまくできない人には「何とつまらなく退屈な映画であろう」と思うこと間違いない。だからこそ一度わかってしまうと...
これがたまらんのだよ。
要は小津安二郎だ。
四十を何年も過ぎた年になってようやく気がつく、そんな映像世界なんだな、これが。
メイン出演者も少なく、五人。女性は原田さんと本上まなみしかでていない。コレでも戦争映画。戦争映画コーナーへ行かないとレンタルできない。ソコに騙されてしまって、どこのレンタルでも置いていない、買うしかない!と。買ってしまったDVD。でも、原田さんのみならず、出演者みんないい。しかもぜんぜん話題にもならない映画。こんなにいい映画なのになんで?ハリウッドばかり見ていると、人間何か忘れてしまうんじゃないかな〜

紙屋悦子の青春 [DVD]

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