「地獄」石井輝男

石井監督の作品を久しぶりに見た。相変わらず脳みそがとろけて耳から流れ出しそうな作品だ。しかし石井監督の作品をわざわざ観てそのような戯言を言うのは「スプラッタ映画見たら怖かった」というがごとく、じゃ観なきゃいいじゃないと言うことなのである。
内容は...まお察しの通りどうでもいいのだが、とりあえず...世の中の乱れについて憂いを深めた閻魔大王が選らんだ一人の女性に生きたまま地獄見学をさせ、人間たちに考えを改めてもらおうとする話。ところが地獄巡りの話はほとんどなく、じっさいにおこった事件の再現フィルムを延々見せられる。地獄のシーンと現実のシーンの割合は1:3くらいだ。
実際起こった事件は二つ。宮崎勤の幼女連続誘拐殺人事件と、オウム真理教事件だ。
かなりつっこんだ(というか監督独特の映像表現)で再現されるドラマは「こんな作っていいのか?」という疑問が頭をぐるぐる巡る。てか、そもそもそんなのがイヤなら石井監督の(以下略)
そういえば宮崎勤は死刑執行されたけど、麻原ショウコウはまだ執行されてなかったなあ...本編ではこの二人が死後、地獄へ堕ちて身の毛もよだつ責め苦にさいなまれるのだが...ま、ソコは石井特撮なので、マネキン人形のような作り物の手足や首がノコギリで切り落とされたり、生きながら生皮を剥がされると、枯れ木のような骨が現れたり、それらの作業を喜々として執り行う地獄の亡者どもの造型も結構かわいかったりして、怖がるより笑ってしまえるほほえましいモノになっている。
正直いって現世での狂気に満ちた事件再現の方が百倍怖い。きっと監督は「地獄よりこの世の方が地獄なり〜」とでも言いたかったのかもしれない。
とりあえずツッコミどころ満載なのだが、監督独特のサービス精神とでも言うのだろうか?そこかしこに女性のセミヌード満載である(←おいおい)主役の女の子はあきらかにセリフ棒読みのシロウトさん。監督の愛人でも無理矢理抜擢してしまったのかと思った。このほか地獄ではホボ全裸に紐パン状態の男女が奇妙な舞をしながら苦しみさいなまれるのだが....こりゃ大駱駝艦構成員だなと。監督の映画には欠かせない存在なので、きっと仲良し親友なのであろう。
なんといっても圧巻はラスト十分くらい。どうやってこんな話を完了させるのだと思ったら、ストーリーにまったく関連なく、まさにいきなり唐突に、我らが御大「丹波哲朗」大先生が浪人姿で登場!!地獄の亡者どもを刀でばったばったと切り倒すのである。本当に全くなんの脈絡も複線もなくである。で、彼は一体何者かというと、同じく石井監督の大傑作「ポルノ時代劇 忘八武士道」で主役の「明日死能(あしたしの)」である。
画像が見つからなかったので、Yahooオークションで出展してたヤツ↓
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n62875655
と、まあわけがわからず、正直誰にもお勧めできない内容の逸品ではあるが、勇気ある御仁は挑戦してみてくれ。とにかく何度も言うが脳みそが耳からとろけ出しそうな映画である。
てか、そんなのしか作っていない監督なのだ!リスペクトせよ!!
はまぞう」でアダルト作品ということではじかれてしまったようだ...とりあえずamazonへリンク↓
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