「絶対帰還。」クリス・ジョーンズ

またやってしまった。本当は「ドラゴン・フライ」(旧ソビエトの宇宙ステーション「ミール」のお話)を読もうとして間違えてしまった。あまりにもこういう事が多いので、図書館で本を借りるときは、少し調べて借りようと思う。
でもまあ、コレもそこそこおもしろかったよ。今回の沖縄出張の友である。
こちらは国際宇宙ステーション(日本の実験棟「きぼう」のあるやつ)のノンフィクション。滞在員を送るスペースシャトル「コロンビア」が大気圏再突入の際に空中分解事故を起こし、その原因追及と対策ができるまでは交代要員を宇宙に送ることができなくなった。当然現在ステーションに残っているクルーはそこに取り残されるわけだが、さてどうやって帰還するか?
ところが当事者であるクルーたちはすっかりステーションでの暮らしを気に入ってしまい、滞在延期になったことをむしろ喜んでいる様子だ。あまり緊張感はないように思える。食料などの必要物資は定期的に無人ロケットで打ち上げられるので心配ない。
それでもNASAはどうするべきか善後策が全く見つからない状況である。ドタバタする地上組と割と宇宙暮らしにすっかり順応している天上組の対比もおもしろい。
以下は「ダビンチ」での本書の紹介文だが、手元にないので思い出しながら書いてみた。
科学技術の英知を結集して...しすぎて、過剰に新技術を開発するアメリカ陣営に比べ、社会主義的革命精神で...チョットは技術しろよ...多大なる人的犠牲と努力と忍耐と工夫で宇宙へ向かうロシア。特に笑ったのがボールペンの話。宇宙では無重力のためボールペン内のインクが下に落ちてこず字が書けない。そこでNASAは技術を結集して無重力の宇宙空間でも文字を書くことのできるボールペンを開発した。
ロシアは鉛筆を使った...ヽ(´ー`)ノ...まるで冗談のような話だ。
無重力では重力で下に落ちるべき「鼻水」が落ちない。その結果、始終鼻づまり状態になり、食べ物の味がわからなくなる(試しに鼻をつまんで食べてみよう、味がしないはずだ)結果として刺激的な辛いモノしか味として感じることができず、辛いモノが大人気となる。あげくステーション内で通貨の代わりに流通することになる。
そんな国際宇宙ステーションも旧ソビエトの宇宙ステーション「ミール」に比べたら天国と地獄のような状況なのだろうなあ...本書でもミールのことにはチョット触れていたが、宇宙滞在記録を持つ宇宙飛行士などに至っては、滞在中にソビエトで革命が起きて、予定していた日には帰れなくなり滞在延期で新記録樹立だ。帰ろうとしたら国がなくなっていたなんて、なんかそんな映画あったよなあ〜空港に住み着いちゃった人の映画...そのほかにも火災あり空気漏れあり...もっとちゃんと作れよソビエトってな様相だ。
宇宙というのは、たいへんなところなのである。飛行機どころか観覧車も苦手な自分にとっては、いくらもらっても行きたくないところである。多分行けともいわれないと思うが。

絶対帰還。

絶対帰還。