「ハチミツとクローバー」

久しぶりにレンタルした映画。久しぶりだったので期待大だったのがいけなかったのか...つまらなかった。つまりこの映画はアレだ。一昔前に流行った「アイドル映画」だ。主役の櫻井翔蒼井優加瀬亮のファンでなければとうてい楽しめないように思えない。ハチクロファンにしてみれば何が何でも楽しみたいところではあろうが...
なんか見ていて製作の裏側が所々かいま見えて、チョット痛いんだよ。たとえば海のシーンが何カットかあるのだが、あきらかに同じ日にスケジュールに追い立てられて撮りましたってなかんじで、違う日にもかかわらず、同じ天気。カメラの位置も同じっぽくて、いかにも「あわてて撮りました」ってな感じ。ほかにも商店街や学生寮の近くなども同じように、カメラ固定であわてて撮ったヤツを編集しました感がする。それらが気になると、もうずっとそれしか目に入らなくてしょうがない。きっと低予算で撮ったのだろうから、あまり酷なことは言いっこなしにしよう。きっと俳優のギャラだってやすいはずないのだから、天気を待って撮り直しってわけにはいかない大人の事情だよね。
あの長い原作を一時間半の尺に収めるのだから、いいとこ取りはわかるけど、マンガからそのまま持ってきた名セリフだけじゃ、なんだかコミックの思い出再現しました止まりの作品になってさみしい。いっそ「この映画を見る人はみんなハチクロマニアばかりだ」という想定の上に、思い切ったスピンオフでも作ればよいじゃないか。
ナラオマエが作れよってのはナシね。
あんまりけなしてばかりじゃ何だから、よかったところを...画面のそこかしこを飾る美術の小道具がいいなあ。さすが美大を舞台にした物語だけに、学校や学生寮のあちこちに奇妙な絵画やおかしなオブジェなどが満載だ。映画のストーリー追うより、そんな画面を彩る物体を注意深くみているとおもしろい。コレらはこの映画を作るためにわざわざ新たに作ったのか?それともロケ地になった美大の中にすでにあったオブジェたちを借り受けたのか?ひょっとして映画の美術スタッフの作品かもしれないが、何だかものすごいエネルギーを、脇役でありながら、主役の俳優たちの存在感を脅かす美術オブジェたち、いいなあ。
劇中で森田先輩がチェンソー持ち出して丸太をいきなり切り出して木彫し出すところなんか「あ〜あるある、俺もやる」と思ったが、森田先輩、危ないのでチェンソー使うときはせめて防護メガネはしましょう。チェンソーキックバックも危ないが、それよりどでかい木くずが目に入って、作業どころじゃなくなるから。やっぱり途中で気がついたらしく、後半のチェンソーワークはちゃんと防護メガネをしていた...だから、最初から防護メガネつけて撮り直したらどうだ?監督。そんなにフィルムがもったいないか?
劇中のハグちゃんには不評だったらしい森田先輩のこの作品も、元気があって自分は気に入っている。500万円は払えないけど。最後にこの作品に灯油をまいて燃やしながら一言「自分の作品を燃やす気分は、札束燃やしているようだ」(確かこんなセリフ、正確には観てね)コレは映画オリジナルの名セリフだなあ...
ところで知らなかったけど、櫻井翔ってひょっとしてヤッターマン1号やる人?ヤッターマン1号にしても、この映画の竹本君にしても、本当は主役のはずなのに、ちっとも主役らしい存在感のないところが彼の一番の特徴なのかな?
最後に一言。一度でいいから関めぐみさんがパンツ丸見えで必殺かかと落としを食らわしてほしかったなあ(←おいおい)
かなり不満だらけだったけど、それなりに楽しめたからいい映画なんじゃないか?
...ん?

ハチミツとクローバー [DVD]

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