「戸川幸夫動物記」戸川幸夫

今までは長編しか読んだことがなかった戸川幸夫だが、これは短編集。子供向け文庫なのだが、それだからと言って特に文体が簡単になっているわけでもなく。でも、もともと読みやすい人なので、学校図書館に蔵書するには可もなく不可もなく、実に無難な選択なのだろう。
ところで戸川幸夫って大物右翼活動家だったの?
うろ覚えの記憶を頼りにネット検索したらこんなの出てきた。
http://kunyon.com/shucho/080211.html
本書の目玉と言える短編「高安犬物語」(直木賞受賞作)のモデルとなった犬の写真があるではないか。ビックリした。(右翼云々は不明、どこで誤解していたのだろうか?)
本書は人間と動物との心温まる交流を描いた作品集...ではなくて、自然の厳しさや、それに対峙する人間や動物の強さの物語。もっとも現代に読み返してみると、高安犬物語なんかは「え?これが直木賞受賞作?」と拍子抜けしてしまう感は正直否めない。今でこそ直木賞といえば文壇をにぎわす年に一度のお祭り騒ぎだけど、当時はそんなじゃなかったのかなあ...やっぱり戸川幸夫は短編集より長編だ。ちなみに未読だが、いま手元にあるのが「山本五十六」と「翳ある落日」日本全国への出張先々の古本屋で買った。ブックオフ系ではない古本屋へ行くと、たいてい戸川幸夫の本があり、案外手に入りやすい作家なのだと最近気がついた。これから手に入れたい本としては「人間乃木希典」だな。司馬遼太郎の「坂の上の雲」でボロクソ無能ぶりを書かれてしまった乃木将軍だが、こっちの方は軍神マンセー的なようなので、是非読む比べてみたい。
...してみると戸川幸夫って大物右翼活動家ってのもあながちあたらずしもとおからず?
AMAZONに画像なし)