『影男』江戸川乱歩

本当にシチュエーションの設定と、物語の導入部の素晴らしさは乱歩先生にかなう作家はいまだにいないのじゃないか。
その分ラストは、おざなりです。
ああ、もう、ほんと!!ラスト間際に出てくる明智小五郎!!お前は出てくるな!!明智小五郎ってこんなにヤナやつだったっけ?この読後感は「パノラマ島奇譚」といっしょだ。背徳OK。エログロOK。そんな世界観に唐突に現れた絶対正義の明智先生が、物語を強制終了するというスタイルを、乱歩先生が後年に開き直って多作しなければ....
と、晩年乱歩に文句たらたらだったのは昔のはなし。いまではそんな乱歩先生のヘタレぶりまで愛せちゃうようになってしまうのだから...大人になったもんだ私も(←そうか?)

影男

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