「神秘日本」岡本太郎

 岡本太郎先生、北は青森から南は沖縄石垣島まで日本縦断行脚記(青森というのがちょっと中途半端だが)人生に迷ったときの一冊。岡本太郎の著作というのはそんな本である。だから一回だけではなくて、その都度それとなく、気に入った本を借りてきて読んでみる。不思議と「人生何とかなる。ガンバレラジカル」といった気分になれる。もっともそんな気がするだけで、自分に直面した実問題は自分で解決しない限り、何ともならないのだが。
 この本も読むのは二回目。最初に読んだときはなんだか良く理解出来なくて途中で放りだしてしまった。二回目にしてきっちり読了。この本は岡本太郎全著作シリーズとなっているのですが、これは第三巻。はっきりいって一巻、二巻にあった光と影の青春期といった意味合いが薄れて、自身の日本人としてのルーツに立ち返った著作。しかし皮肉なことに前巻までの強烈なメッセージだ届いてこない。やはり「日本」などという小さなスケールに収まりきれる人間ではなかったのですね、岡本先生は。
 一般的には岡本敏子さんの著した「岡本太郎に乾杯」の方が読みやすい。敏子さんから見た岡本像は本人が思い描くそれより、あきらかに5割方カッコイイ。