痛い、いたたたたたた〜痛い

 「蛇にピアス」金原ひとみ読了。痛いんですけど...
 作者は20歳の女性である。「自分が20歳の頃はというと」などというと、いかにもジジクサイが...時はバブルへまっしぐらの時代で、日本中が浮かれまくり。そういう自分も人生絶好調で、将来の不安などはなく、ただ自らの全能感に肩までドップリ浸っていた。今になっては、その時のツケをその後の人生で延々払い続けているような現在ではあるが(無能感ドップリ)
 それにしても20歳にしてこの絶望感は何だ?ここまで日本は閉塞しているのか?閉塞しているのは作者だけなのか?行き当たりばったりお先真っ暗パンク人生まっしぐら。今だったらまだ人生のやり直しがきくという地点を遙か後方に過ぎ去ってしまった主人公ルイはまだ19歳。おいおい、一体この先どうするんだ。できることなら、たまに芥川賞作家がその受賞作の続編を書くような行為を、絶対にしないで欲しい。ここで完結。生きづまりドン詰まりの人生がこの時点でフリーズされる事が、フィクションにゆるされた最後の逃避地点である。
 受賞者インタビューによると、自分の書いた小説を父に見せ、父がそれにアドバイスをしていたそうな。この辺だけなら何となく「無名」沢木耕太郎などと同じような親子関係だったように見受けられる。もっともお母さんにしてみればドロップアウトの加速に歯止めがかからない我が娘を見てきて、気が気ではなかったことだろうと。

両親は喜んでくれました。特に母親は、こちらが思わず引くような、たいへんな喜びようでした。
自分の娘は現在8歳である。後12年後にこのような小説家いて、世間様があっと驚くような賞をもらったとしても、「蛇にピアス」読後にはそんな気持ちにはとてもなれません。
 「だからお母さん、アレはフィクション、作り話なんだって」という会話が家族であったかどうか?イヤそれよりも、このように世間から激しく賞賛された娘をみて、母としての着地点を見いださなければならない状況こそ、痛くて痛くてたまらない事だ。親として気持ちは痛いほど解る。
選者の誰かは、肉体の毀損による家族への反逆などと説明していたが、私にはただ浅薄な表現衝動としか感じられない。石原慎太郎
あまり部分だけを取り上げるとまた都知事に怒られそうだが、若い頃にはそんなやり場のない怒りや衝動ってあるよね。自分は未だあり自分の父との親子喧嘩な日々です。でも肉体毀損はしません。痛いの嫌いだから...頭痛薬が常備薬な人生を送っています。