おんぼろオーディオシステム

 最近気がついたことだが、従兄弟からもらったオーディオのアンプが実にいい音を出す。放熱用の穴からのぞくと、直径2センチはあろうかとういうトランジスタ(ICではない)が数個並んでいるLo-Dの三十年くらい前のモデル。これに数年前まで使っていたモジュラーステレオ(本体はとうの昔にオシャカになり破棄)のスピーカーに繋いでいるだけの、実にショボイシステムなのだが。
 最近よく行くお店の、自称オーディオマニアのJAZZマニアさんが使っているJBLスピーカー+特注真空管アンプのシステムよりいい音のような気がしてならない。そんなばかなと思われるであろうが、案外オーディオ信仰にまみれていると見失いがちな「自分の感性に合った音」という根本的なことを見失いがちだ。エライ金額をシステムにつぎ込んでしまっているから、今更「この音は本当に良いのであろうか?」という考証ができなくなっているのである。不幸である。
 ちなみにうちのシステムだが...アンプ、もらったのでタダ。実は従兄弟も、叔母(共通の叔母さんなのだけど)が離婚時に、結婚時の昔の品を処分しようとしたときに「モノには罪はない」ともらってきたモノだそうだ。それが流れ流れてきたもの。
 CDプレイヤー...ハードオフのジャンクを自分で修理したもの。電子回路には全く故障はなかったのだけれど、CDトレイの制御バネのバランスが悪く、挿入したCDが二度と出てこないという、恐ろしい不良だった。何のことはない、バネの力を弱め(数巻き切っただけ)で修理完了。
 スピーカー...先出のもの。減価償却は遙か昔に終了しているであろうとして計算すると...ジャンクのCDプレイヤーしか買っていないから¥2,000-である。これで先のマニア向けチューブアンプ+JBLスピーカーより音が良いと言ったら...マニアの人から怒られそうだが、自分にはそう聞こえてしまうのだからしょうがない。
 とはいえ、うちのシステムにも欠点がないわけではない。それも致命的な欠点がある。それは「音が安定するまで30分はかかる」実はこの事実に気がつくまでは、なんてショボイ、非道いアンプなのだ!!と憤慨していたのだ(タダでもらっておいて、ずうずうしい)
 立ち上がり30分の音はぼろぼろ...これを「このアンプの個性だ」と割り切って聞いてみると、本当に温かみのある、いかにも「アナログ」な音が楽しめる。これはCDをかけたときもだ。今も「ダイアーストレイツ」のライブを聞きながら文章打っているが、いやほんとうに良いんだ。
「ちょっと待て、電気製品捨てるな。熱して使え、意外にうまい」...んな、熱燗じゃあるまいし。
 とかなんとかいいながら、ビール飲みながら「ブレイジングアウエイ」マリアンヌフェイシフルを聞いている。最近の英米音楽はクズだ。ああ〜いいなあ〜ちなみに1990年発売、来日公演ライブ盤。どんな感じかというと、朝の連続ドラマ「てるてる家族」でゲスト出演していた「いしだあゆみ」を100倍ぼろぼろにした感じ。
 ふるいものほど良いなどというセリフがではじめるということは、人間死期が近づいているモノか?