高畑勲といえば

 名作「ホタルの墓」だが、実は自分は未だに通しで見たことがない。テレビで毎年やっているから(何度目だホタルの墓)見ようと思えば見れないこともないのだが、20分くらい見ては「ダメだ、とても見ていられない」とチャンネルを変えてしまうのだ。全く意気地なしである。
 ところでホタルの墓の原作といえば野坂昭如であるが、実は先日「野坂昭如コレクション1」というのを図書館から借りてきた。まだ三分の一位しか読んでいないけど、イヤ、本当に面白い。ボロボロの話は救いのないくらいボロボロで、お笑い話は腹を抱えて大笑いである。インターテイメントとはちょっと一線を画すが、傑作集であることは間違いないであろう。
 その中の一片「ああ水銀大軟膏」などは、まるで松本零士大先生の「男おいどん」のモトネタはコレではないかと思わせるほど、シュールなペーソスある作品だ。男性の一人暮らし=インキンタムシというイメージが男おいどんにはあるが、こちらはもう一歩進んで(全然進んでない)野郎の集団生活=ケジラミである。
 ま、ボロボロ話の方は本当に救いがたいボロボロな話なので、読んでいてホタルの墓の原作もかような物であろうと用意に想像が付く。今度ホタルの墓の原作を読んでみたい。図書館で探したが、意外な事になかった。野坂昭如コレクションの別の巻にないかと探したが、ない。もちろん子供向けの絵本では、あのお馴染みの絵での本がちゃんとあるが、何故ない原作。野坂自身が「あれはなかったこと」にしてしまいたいのであろうか?もしそうだとしたら、皮肉なことにホタルの墓が彼の作品の中ではもっとも知名度の高い作品になってしまっているのだが。世間から隠そう隠そうとすればするほど、そのものが桑だって目立ってくる。ウルトラセブンの12話のようなものです。(←そうか?)