今日のバローズ

 エドガー・ライス・バローズ「火星の合成人間」読了。
 そういえばスタジオジブリの新作「ハウルの動く城」ってのは、老婆にされてしまった少女が主人公だったけど「火星の交換頭脳」も老婆の体に頭脳を交換移植された女性の話だった。似て非なるものだけど、テーマは同じなんだろうな。
 さて「火星の合成人間」だが、「交換頭脳」と対をなす作品であることは読む前からうすうす感じていた。今回頭脳を交換するのは若い男性である。それも窮地に立たされた女性を救うために自ら進んで醜悪な怪物の体への頭脳交換を申し出るのである。やがて醜い怪物に変貌してしまった自身の心の葛藤にさいなまれながらも、美女を守りつつ波瀾万丈な物語を繰り返していく。「人間の本質は頭脳(こころ)にあるのか、それとの体(肉体)にあるのか?」なんか昔「サイボーグ009」で散々問題にされた主題が、ルーツはこんな所までさかのぼるのかと思った。まして成長に歯止めが利かなくなり、肉塊の膨張が暴走してしまった巨大合成生物などは「アキラ」に出てくる鉄夫そのままである。よくまあこんな荒唐無稽でむちゃくちゃな発想が次々と思い浮かぶものだ。さすが世界が誇る元祖エンターテイメント、バローズ節の真骨頂ここにありといった作品になっている。
 これで近所の市立図書館においてある火星シリーズは全部読んだことになるのだが、実はあと一冊「火星の秘密兵器」だけ読んでいない。市立図書館に蔵書されていないのだ。そのうち機会があったら県立図書館あたりを探そうかとも思うのだが、借りに行くのはともかく返しに行くことを考えると億劫になってしまう。何せ自動車で片道一時間かかるし...ま、そのうち古本屋なんかで見つかることもあるでしょう。Yahooにオークションアラートを仕掛けておくという手もあるが...そこまでするか?