高速バス通勤

 たるみきって朝8時をすぎないと起きれない自分にとって、デパート催事における7時起きの高速バス通勤は睡魔との戦いである。とかいえば聞こえはいいが、新潟市への行きのバスの中は寝ている。眠いのだ。無性に眠いのだ。バス時刻の関係上、開店40分前くらいに着くのだ。早すぎるし眠いので、デパート近くの高層ビルの一階ロビーのベンチでチョットだけ居眠りする。となりではえたいのしれない60歳くらいのオヤジが、一心不乱に読書している。居場所の見つけにくい人たちがのんびりするには絶好のロケーションの高層ビル一階ロビーのベンチなのだ。ふと自分の20年後くらいの姿をかいま見たような錯覚を感じた。
 帰りのバスの中で「亡国のイージス」を読むことだけが、今の自分のささやかな楽しみ。しかし今日はそのささやかな楽しみも奪われてしまった。たまたまバスの前の席に座った二人が延々話し続けていた。ソレが気になって集中できない。聞き耳をのばすと、先日あった水害での出来事を、事細かにとなりの青年に話し続けるオバさんという構図が見えてきた。話の聞き役の青年はめんどくさそうだが、相手のオバさんの事を「先生」と呼んでおり、さけることのできないヒエラルキーの悲惨を感じた。ま、しょせんは人ごとだ。ソレよりも話し声がうるさすぎて本が読めないのが悔しい。
 幸い高速道路に入ったら、走行音がうるさすぎて話ができなくなった模様。やれやれと、短い時間の読書を楽しむ。