「人形館の殺人」綾辻行人

かなり気に入ってしまった。
これをミステリと読んでいいものかどうか?意見が分かれるところではある。かなり微妙な立ち居地の本書。むしろサイコホラーとでも呼びたい。が、自分的にはこれはOKぜんぜん問題なし。それどころか「時計館」「暗黒館」の次くらいにイイ。実は綾辻さんって、この手のホラーっぽい作品のほうが文章生き生きしているんじゃないかとさえ思える。
父の残した奇妙な洋館「人形館」に越してきた主人公が、なぞの人物に命を狙われる。犯人は直接彼に手を下す前に彼の周りの親しい人物から殺し始める。がしかしそこには驚愕のなぞが...なぞを解くべき名探偵島田潔が推理を働かすのだが...これまた驚愕の結末が待っていた。驚愕過ぎて推理小説とよんでいいものかどうか?
これくらい思い切ったことをしてくれると、本当にうれしくなる。まったく、あれほど嫌いだった綾辻さんの作品にこれほどのめりこんでしまうとは思ってもいなかった。これはつまり彼の「館シリーズ」を「時計館」から読み始めてしまったという、とんでもない失態をしてしまったことがいけなかったのだ。その後十角館はともかく「水車館」であまりのへたれぶり(某「暗闇坂人食木」酷似ぶりっすよ)に大嫌いになってしまったのがいけないのだ。いいじゃないか綾辻さん。
以上で長い間の懸案であった「館シリーズ」をすべて読んだのだが、やはり「時計館」がマイベストである。次が「暗黒館」だな。まず十年以上はかかってしまった。ずいぶんと長い間放置しておいたものだ。今回つくづく思ったことは「シリーズものはちゃんと第一巻から読もう」ということだな。それでは綾辻さんの館シリーズ以外の作品も心の図書館未読リストに加えておこう。
ええと、シリーズものは第一巻から読むということで「黒豹シリーズ」は...

人形館の殺人 (講談社文庫)

人形館の殺人 (講談社文庫)