戦艦ポチョムキン

今まで心に引っかかっていた映画。ようやく見ることができた。近所のレンタル店ではおいていなくて、もちろん中古屋にもない。正規店で売ってはいたが、お値段が¥3,800-思わずひいちゃいました。この手の名作ものって書店の店先に廉価版¥500なんてのがぞろぞろ並んでいる。久しぶりにyahooオークションをのぞいてみたら¥1,500送料込みってのがあったので入札したら、やはり他にこんなの買う人いないので、余裕で落札。
さて最近の自分のお気に入りのソ連の作曲シェスタコービィチの「交響曲第五番」で始まるこの作品、製作当時は当然サイレント映画だったが、そこにあとづけでシェスタコービィチの交響曲を付けたのだ。これがまるでこのために作られたようにぴったりである。旧ソ連の作品だし、政治プロパガンダ臭がむんむんな前半なのだが、後半の、あの有名な「オデッサの階段」の圧倒的な映像に言葉を失ってしまいましたよ。ホント。スゴイね。オデッサの階段の章が始まってスグに、階段に戦傷を負ったと思われる元軍人らしき人...下半身がないのだけれど...彼が画面に登場した瞬間から映画が異次元空間に引きずり込まれたような軽いめまいを感じてしまう。そんなインパクト(反則気味だよな)ある映像以降、そこから怒濤のごとき惨劇(虐殺)が繰り広げられる。これがまたこれでもかと延々続くのである。ソレを現代映画風の細かなカット割りで描写する。このシーンはあの「アンタッチャブル」でもパロディされた有名な「階段落ちベビーカー」っていう描写も含むのだが、それだけではなくどこかで見たことあるようなシーンが案外見つけられる。たとえば、戦艦を乗っ取った船員を乗せてポチョムキン号が入港する際に市民たちが大歓迎するシーンなどは、そのまんま宮崎アニメでお馴染みのモブシーンである。喜びを表すために群衆が帽子を空に放り投げて喜ぶシーンなどは「魔女の宅急便」どころか「パンダコパンダ」の頃からの定番シーンである。考えてみれば、かつては高畑勲宮崎駿東映動画時代の労働争議の闘志だったのだから、この映画を見ていない訳はない。
というか、映画人なら必ず見ているはずのポチョムキン。いままで見ていなかった自分がダメポ。
最近旧ソ連関係の芸術がよいなあなんて思い始めて、クラシック関係から徐々に追体験している。本当に資本主義体制下の商業ベースの作品とはあきらかに違う制作条件、たとえば体制批判などは御法度...のはずなのだが、実に巧妙に織り込まれていたり...世界の多様性というのを再発見している今日この頃であるのだよ。

戦艦ポチョムキン [DVD]

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