「ウルトラマン島唄」上原正三

かつて円谷プロで初代ウルトラQ以降のシリーズにかかわったスタッフ達の回顧録は本書の他にも割とある。一番有名なところはテレビドラマにもなった「星の林に月の舟」実相寺昭雄監督の自伝小説であろう。他にも「冬の怪獣」(実相寺)や、市川森一のドラマ脚本「私の愛したウルトラセブン」などもある。
この本は、今更なにをかいわんではあるが、ウルトラ生みの親とも言える天才、金城哲夫の物語である。金城哲夫の一の子分(?)の上原正三の入魂の一冊である。マイティジャックで視聴率的に大失敗してしまい、その後徐々に消耗していき、沖縄へ帰郷となわけだが、沖縄でも思うような創作活動ができず、沖縄海洋博のプロデュースも避難が飛ぶ中、いつしかアル中を発症して、最後は事故死という...ウルトラの頃があまりに華々しすぎたので、よけいに悲惨だ。
才能あるクリエーターなのになぜか自分の才能に自信をなくしていき、アルコールにおぼれるなど...そのまま浮浪者になったら「失踪日記吾妻ひでおだ...もっとも彼は無事(?)社会復帰したようだが。
かくして金城哲夫の波乱に満ちた人生は幕を閉じ、魂は今頃ニライカナイを漂っているのであろう。いや、M78星雲に帰って行ったに違いない。
上原正三入魂の一冊。

金城哲夫 ウルトラマン島唄

金城哲夫 ウルトラマン島唄