「宇宙消失」グレッグ・イーガン

山本弘の「神は沈黙せず」を売るつもりがないのに、うっかりブックオフへ売ってしまったと長い間嘆いていた。ところが先日自分の本棚を見ると、あるではないか。一番下段の隅の方。イヤーよかったよかった。ソレでなくても最近は極力図書館を利用して、本は買わないようにしているのに、そんな中でも「これだけはどうしても」という本はやはりちゃんと買って、手元に置いておくのだ。まあ、偉そうなこと言っていても、ブックオフで買ってきたのだけれど。
宇宙消失。ある日突然宇宙が消失してしまった世界を舞台にしたスペキュレイティブ・フィクション(日本語表記忘れた)である。宇宙が太陽系までしかなくなってしまった。こりゃ大変だ〜というより、人間て割りと環境への即応性があって「そんなものか」とかなり冷静に受け取ってしまう。モチロンそれに乗じたカルト宗教も登場するのだが、ソレはほとんどお話しに関係がなかった。ま、普通あらすじ読んで、だいたいこんな感じの話だろうと思うと、そんな話だったりするのだが、コレは違った。全然違った。
イーガン独特な解釈で、メチャクチャ強引とも言える量子力学応用による世界構築のお話しなのだ。え、なんのことかわからないって?大丈夫、読了した自分もナニが何だかよくわかっていないのである。
ま、早い話人類は宇宙においてもかなり危険な存在だから、太陽系に隔離しちゃえってオーバーロード(自分も古いな)みたいな存在が、うまく隔離したつもりが、うっかり偵察なんかに来たものだから、捕まってしまい、その特殊能力を解析されて、ソレを人間が使い出して....という話でいいんだと思うのだが...なにぶんラスト近間になればなるほどゴッタ煮カオス状態でよくわからん。
イーガンの小説の醍醐味といえば、いかにもありそうな超越技術を市井の人たちも普通(てか、パソコンオタク程度には難しく)に使っている世界観だ。偉そうなこと行っているが、自分はこのほかに「万物理論」くらいしか読んでいないが....その新アイディア満載具合をタダ楽しむだけでも十分おもしろい。
話があっちこっち行っているが、何が言いたいかというと、ああそうか、あの山本弘の「神は沈黙せず」の宇宙観のモトネタって、この本だったのかな〜と思っただけだ。個人的には山本弘の方がトンデモエンタテイメントしていて読んでいてたのしかったのだ。じゃこっちはだめかというと、ソンなことはなく、随所にちりばめられたスペキュレイティブ(日本語表記忘れた)がたまらなくいとおしかったりするんだよね。不思議と。
訳のわからない小説を「ワケわからないや〜」と思いつつも楽しめるようなったら、あなたも書痴だ。
書痴に処置なし。

宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)