故郷は地球

まさかの訃報が相次ぐ年末。とうとう我らが神と崇める映像巨人の実相寺昭雄監督が亡くなられた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20061130-OHT1T00099.htm
享年69歳ってまだメチャクチャ若いじゃないですか。ショックです。
さて、自分は一体いつ頃からこの実相寺昭雄という人に興味を持ちだしたのであろうか?さかのぼればウルトラマンの頃、あの名作「空の贈り物」スカイドンだね。当時は実相寺という名前は知らなかったけど、あの「ベータカプセルと間違えてカレースプーンを空高くかかげるハヤタ隊員」は特撮史上の名シーンだった。具体的に実相寺監督という名前を意識し始めたのは、もっと後になってからだろう。確かウルトラマンでの実相寺監督作品だけを集めて劇場映画とした作品が公開された頃だと思う。名前を知った後「子供時代に観たウルトラシリーズで妙に印象に残っていた作品は、この人が監督だったんだ」と再確認してファンになった。たとえばウルトラマンならジャミラシーボーズ。セブンなら「第四惑星の悪夢」だな...じつは名作「狙われた町メトロン星人はリアルタイムというより再放送で初めて知った。普段夜遊びしても子供のお土産などはカケラも買わない自分の父が、何故か唯一買ってきてくれたのがメトロン星人のソフビだった...
その後、時代は変わり、コダイグループの「シルバー仮面」となるのだが、当時はやはりまだ実相寺の名前は知らなかった。知らなかったけど、あの異様な第一話(なかなかタイトルが出ないので、子供ごころにも「本当にシルバー仮面が出てくるのか?」どうか不安だった)は一生のトラウマモノである。
本格的に実相寺監督にはまりだしたのは、間違いなく学生時代である。美術学校の映像研究室に身を置いていた学生時代に、ソコにあったビデオカメラに広角レンズを付けて「実相寺ごっこ」と称して「唇のアップだけで会話し合う」とか「モノの間から隙間をぬってシーンを撮る」とかして喜んでいた。さすがに予算不足だったので、あの独特の照明効果はマネできなかったが。怪奇大作戦の監督作品もATG時代の奇妙な劇場作品「無常」もその研究室で観た。唯一劇場で観た作品が「帝都物語」だった。どうも劇場作品の監督と言うよりはビデオで再評価された監督というイメージが強い。
その学校の先輩などでは結構猛者がいて、ウルトラセブン12話(今のように「ようつべ」で気楽に拝見できる時代ではなかった。それこそ本当に幻だった)を見たいが為に、当時そこに存在していたと噂されていたデンフィルムエフェクト(元円谷プロの残党が起こしたフィルム合成専門会社。噂では円谷英二アメリカから注文したといわれる伝説のオプチカルプリンターを倒産のどさくさに拉致ったとか...?)にアルバイトして、念願かなって16ミリフィルムの12話を見れたと、後輩集めて(後輩って自分だけど)自慢していたりと...正直うらやましかったけど...
何かと話題が尽きない、すてきな監督だったのだ。というか、監督はおいておいて伝説が一人歩きしたような12話伝説ではある。
その後も平成ウルトラシリーズにかかわりつつも、アダルトな江戸川乱歩など(屋根裏の散歩者、大好き!!)を映像化しつつ、去年はあの原田知世さんを主役(じゃないって)に、京極夏彦の名作「姑獲鳥の夏」の映画化。まだまだ活躍が期待されているこの時期に、突然の訃報。あんまりだ。
いやが上にも「シルバー假面」が気になる。
実は自分は未だ「姑獲鳥の夏」を観ていないダメダメファンなので、現時点で最後に観た実相寺監督作品がウルトラマンマックスの「狙われない街」になる。個人的にはそのまえに放送した「胡蝶の夢」の方が印象深い。
もっといろいろな実相寺演出を観てみたかった。あまりに早すぎる...というか、まさか死ぬとは夢にも思わなかった巨匠の死に愕然とするのみである。
唐沢俊一氏の追悼文が泣かせます。
http://www.tobunken.com/news/news20061130085931.html