「漂流」吉村昭

漂流教室という名作マンガがあるが、あれはおもしろかったねえ〜
さて久しぶりに読んだ吉村昭だが、本当におもしろい小説を書く人だ。大絶賛。どうやらその昔映画化されたらしいのだが、サッパリ記憶にない。日本鎖国時代には外洋航海が無かったため、日本の船舶航行技術はかなり未熟だったらしいですねえ。日本近海だけを荷物運び回っていたちいさな舟ばかり。しかも理不尽な役人の命令によって、しけがちかずいているにもかかわらず出航。結果遭難なんてコトがたくさんあったそうな。日本近海とはいえ、近くを有名な黒潮が流れているものだから、うっかりそれに乗ってしまうと、遠く日本を離れ、太平洋を漂流しなければならない。大変だったのだ。
本書の主人公も船で遭難して、仲間と一緒に幾日も海を漂流した果てに無人島に流れ着き「やれ助かった」と思うまもなく、島には川はない、湧き出る水源もない。岩場だらけの土地にはほとんど植物が根付かない。当然作物など育たない。大量にいるのは鳥たちだけだ(後でわかったことだが、彼らが流れ着いたのは現在の「鳥島」だった)とにかく生きなければならないと、この鳥たちを捕まえては食べていたのだが、そのうちどうも体の調子が悪くなり、仲間も一人また一人と死んでゆく。多分ビタミン不足(生魚をたべないと)による病気だったり、鬱こじらしてだったりするのだろうが、主人公一人残して全員死んでしまう。
しばらく一人暮らしをつづけてきたが、また漂流者が来た。一人暮らしの寂しさから解放されるも、今度は何としても故郷へ帰りたくなってきた。そこで、彼らと協力して船を造り、この島を脱出しようするのだが。
植物すらまともに育たぬ不毛の地に木が生えているわけがない。さあ、どうする?
なんか、昔テレビアニメであった「キャプテンフューチャー」って番組で、キャプテン達と囚人を乗せた宇宙船が無人惑星に墜落して、宇宙船大破。スパナ一つ無い文字通りゼロの状況から、宇宙船を造り無事脱出するという話を(たぶん「宇宙囚人船の反乱」だったとおもうが)を思い出してしまった。SFと実録ってことで状況は全く違うが、なんかシチュエーションが似ている。
極限状況でも、何とかなる!!
なんて事は絶対無くて、知力体力フル回転させて自体に果敢に挑まないと、なにも解決しないと言うことだ。頑張ろう。

漂流 (新潮文庫)

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