「日本沈没」小松左京

リメイク映画も終わり「何で今頃?」というタイミングではあるが、オリジナル原作版日本沈没を読んだ。しかもカッパブックス版だ。驚いたか!数年前に古本屋で100円で売られていた上巻だけを持っていたのだが、つい最近、他の古本屋で上下巻が売られているのを発見したのだ。しかもセットではなくて、上下それぞれに値札が付いていた。ヌルイ!なんてヌルイ古本屋なのだ。コレでは自分のように上巻だけ持っている客が、下巻だけ買ってゆくではないか。自分が店主ならセットで1000円くらい付ける。義理も人情もない自分は当然下巻だけ(200円也)買ってゆく。書店のアルバイトがレジ打ちながら、複雑な表情を向ける。ごめんな。
実はこの本は昔読んだことがある。小学六年生の時だ。当時は空前の終末ブームで、ご存じノストラダムスの大予言では1999年7月に人類は滅亡するとか、ガミラスに襲われ、地球滅亡まであと一年とか(本放送当時はぜんぜんブームじゃなかったけど)いわれていた時代で、日本沈没もSFとしては、多分日本初で最後のミリオンセラー(で、多分最後)であった。新しい物好きのうちの親父が買わないわけはないので、当然うちにもあった。どうもオヤジは読んでいなかったらしいが...親戚にもあった。ってなほんを六年生の時に読んでいたのだから、いやなマセガキである。
とはいえ所詮六年生。あまり内容を理解していたとは言えなかったが....
ところが今回読み返してみたところ、意外にも「あ、コレ覚えている」という描写がかなりあった。う〜ん、自分は読書の天才だったのカモしれない。二十歳すぎればただの人。
ずっと主人公だと思っていた深海潜水艇わだづみのパイロット小野寺は、そんなに出てこないし、あまり活躍もしなかった。集団劇といったかんじで、科学者やら政治家やらがけんけんがくがくして話がさくさく進んでいく。アレヨアレヨの上下巻あっという間に読了。すっげ〜おもしろかった。SFの王道「思考実験小説」という感じで、もし日本が沈没したら、こんな状況になるのではないかと言うことを丹念に描写している。自分的に日本沈没のイメージとしては、藤岡弘、主演の前作映画が非常に強く、やたら巨大な自然災害に巻き込まれ、逃げまどう日本人という図式がインプットされている。ところが、意外にも原作ではそんな日本崩壊描写はむしろ淡泊であり、人間描写が秀逸である。
日本沈没の本自体は映画リメイクということもあり、文庫で再版されているのだが、このカッパブックス版にある挿し絵がメチャクチャヘタクソで、かなりいい味出している。ひょっとして図書館なので蔵書してあるかもしれないので、できたら確認して欲しい。
ところで、自分はまだリメイク版日本沈没を見ていないのだが...巷の噂では、小野寺がわだづみに乗って、特攻的活躍で日本を沈没の危機から救うというのを聞いたことがあるが...本当か?本当だとしたら屑ですね。とりあえず機会を作ってみてみよう。
ところで、谷甲州が続きを書いた「日本沈没第二部」ってどうなの?確かにカッパブックス版では最後に「第一部、完」とはあったけど...原作の超悲惨な小野寺のラストからどう続くのだろうか?てか小野寺でるのか?小松左京谷甲州って、先出のアシモフとシルヴァバーグっぽくね?ところで、小松先生はまだご健在でしたっけ?

日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)

日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)