「あなたがパラダイス」平 安寿子

沢田研二強烈リスペクト小説。
更年期にそろそろさしかかろうかという女性達の微妙な心理を「沢田研二」というフィルターで濾しとった絶妙なる短編集。沢田研二といえば何と言っても「勝手にしやがれ」だ。窓際に寝返りうって背中で聞いている〜当時少年だった自分には当然考えも及ばない情景だが、当時自分と同じような少年達は、ほぼ全員この歌を歌えるはずだ。その辺が沢田研二の偉大さ...阿久悠の偉大さだな。この本を読んでいたいた頃に、偶然にも阿久悠がなくなられたので、よけい感慨深い(てか、どれだけ前の話、今頃かいているのか)
そういえば沢田研二といえば思い浮かぶのがドリフターズ。そう、この二人(じゃないが)は自分ら世代にとってはかけがいのない少年時代の思い出なのである。親に内緒にこっそり、眠い目をこすりながら見たテレビ番組といえば「悪魔のようなあいつ沢田研二三億円事件犯人役をやった青春ドラマなのだが、内容はぐしゃぐしゃ。ラスト間近で恋人は浴槽でリスカで自殺。本人も三億円犯人的にはうまく逃げ切ったものの、自身は白血病で、戦闘中に死んでしまう。あの幻の名作「太陽を盗んだ男」の前身はこの物語であることは間違いない。そして主題歌を(当時は歌詞の意味など何も知らない)必死になって覚えたのであった。おかげさまでいまだにカラオケ行って普通に歌える。
それだけインパクトある人であったのだ、沢田研二とは。
今まで知らなかったが、そんな沢田研二は、俳優としてはほとんど出てこなくなったが、歌手としてはいまだに新作を発表しつつ、ライブ活動をしているようなことを本書で知った。
素晴らしい。是非原田知世さんも見習って新作アルバムを発表してほしい(ま、原田さんは本業の俳優の方で地道に頑張っているけど。ああ、紙屋悦子)
というような、訳のわからない書評に「そうそうそうなのよ」とシンパシーを持ってくれる方達にオススメする一冊である。
...ではなくて普通におもしろい小説なので、こんな書評を信じないで読んでください...

あなたがパラダイス

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