「永遠の出口」森絵都

久しぶりに読んだ森絵都はかなり昔の作品だ。大人が読んでもいいんだけれど、むしろ小説デビューの中学生が読んでちょうど良い作品だと思う。モチロン大人の読むに耐えないものではない。だいたい森絵都に関しては読書年齢を限定する事自体おかしな話だし、本当に優れた文学というのは、年齢関係ないものだ。
小学生だった主人公の女の子が、なんだかんだと世間の荒波にもまれながら、それなりに成長しつつ高校三年生までに成ってしまう、青春成長小説。どうも自分らの年代で「青春」というと暑苦しくも竹刀を振りながら「これが青春だ」と叫ぶ森田健作像が思い浮かんでしまうのだが、近頃の若いモンの青春像というのはこういったものなのかと、思わず膝を打ってしまう。
だいたい自分の思い通りには行かず、身近にいる有能者を妬みつつ反発。ヤンキーも成長過程の重要用件のように思えるが、実は意味なし時間の無駄だったり。とはいえ、大人世界を垣間見ても、ソコには意外と少女時代の理不尽な人間関係をもっと理不尽にしたものしかなかったりして。
永遠の出口...とは言ったって、出口なんかない。といった閉塞感。
だからこそ、日常にある些細な幸福を見逃さずに、しっかり捕まえていき、幸福感を得ることが大切なんだよねえ。といったお話し。
森絵都って、直木賞とった短編集も良いけれど、自分的には大青春小説「DIVE!!」がオススメ、超プッシュ。騙されたと思って、さあ読め。すぐ読め!

永遠の出口 (集英社文庫(日本))

永遠の出口 (集英社文庫(日本))