「ジャン・クリストフ」ロマン・ロラン

最近、青空文庫で途中までテキスト化したのを発見。その中でジュニア向け書かれた文もあったので、早速読んでみた。第一巻のほんのさわりの部分しかない。そりゃそうだよな〜この後クリストフはむちゃくちゃな人生を歩みまくるのだから。子連れ寡婦との恋、寡婦はその後インフルエンザで急死。その後の恋は恋人を自分の弟に寝取られ破局。皇帝お抱え楽士だったが、度重なる暴言と約束反故で、皇帝は怒り、解雇。兵隊と酒屋で争い、殺す。捕まる前に亡命。フランス革命のどさくさで、また兵隊を殺してしまい、また亡命。恩人の奥方と不倫....絶対ジュニア向けにならない。
異様に長い物語の本作なのだが、クリストフの誕生から、その死までを見事に描ききった大作なのだ。その分量をたった全10巻(岩波版では四巻)にしているのだから、話の進行は異様に早かったり、極端に会話が短かったり、登場人物の心情描写なんかもぶっきらぼうぼうだったり、全体的に「武骨」というイメージがつきまとうのだ。それでいてジャン・クリストフというバーチャルな人格を完全に描ききっているのではないかと思う。
難しい感想は難しいこと専門の人に任せる。検索すれば結構あちこちに書評がある。正直1回読んだだけではよくわからん。今度読む機会があったら、岩波文庫版ではないモノを読んでみたい。いろいろ調べたが、そんなに種類はない。近所の図書館で確認したら翻訳者の違うモノが三種類あった。そのうち二種が文学全集のとして出ていて、それぞれ違う翻訳者だったが、何せ文学全集なものなので、大きくて重い。就寝前に布団で読書というわけには行かない。新潮文庫版があったと思ったのだが、探してもない。どうやら絶版のようだ。そうこうしているうちに、図書館にあったはずのうちの一つが、図書検索で引っかからなくなってしまった。閉架されたか?破棄されたか?どこまでも不遇な作品である。
と、まあ、図書館での扱われ方は不遇でも、作品的にはノーベル文学賞を取ったのだから、多分素晴らしい作品なのだ。そうなのだ。
ところで、何故自分がこんな歴史的大作で大仰な文学作品を読もうとしたかというと実は...
モンテ・クリスト伯」と間違えたのだ。
ジャン・クリストフ」と「モンテ・クリスト伯」ね、なんか似てるでしょう。ジャン・クリストフの一巻を読了した当たりで「おかしいなあ?確か主人公が復讐する話じゃなかったのかなあ」と思い始め、もうしばらくしてから、ようやく間違いに気が付いた。ま、せっかく読み始めたのも何かの縁だからと、そのまま読了したってことだ。
そう、今読んでいる全七巻の大長編小説とは「モンテ・クリスト伯」なのだよ、わははははははは。(マヌケだ)

ジャン・クリストフ 1 (岩波文庫 赤 555-1)

ジャン・クリストフ 1 (岩波文庫 赤 555-1)