「続獄窓記」山本譲司

タイトルが示すとおり「獄窓記」の続編である。刑期を終え出所した山本元国会議員ではあったがソコには苦悶の日々が待っていた。人々の視線が気になり、引きこもりの日々。社会からの強烈な疎外感。社会復帰できない焦りとあきらめ。本来なら刑務所からの出所を素直に喜びたいところであったが「前科者」というレッテルはあまりにも重く、著者がイメージしたような生活とはほど遠い暮らしが待っていた。
そんなどん底時代から、前作「獄窓記」を書き上げるところまでが前半。その後獄窓記の出版をきっかけに、急速の社会復帰していく様子が描かれている。思いのほか獄窓記の評判が良く、新潮ドキュメント賞を受賞するに至っては各界から「先生」扱いされ講演を多忙にこなすまでになっていた。先生扱いに関しては本人もかなりいやがっているようだが。
そんな中で、獄中でその世話をすることが仕事であった「獄中障害者」たちの問題を問いかける運動を始めようとするのであった。そんな運動をしながら障害者の福祉施設での仕事も始め、無事めでたしめでたしとなるのだが....
山本譲司の戦いは、実ははじまったばかりで、これからどういう人生を歩んでいくのか?とても平坦な道ではない。辛く険しい、と言うよりはナニをどうしたいいかさえ手探り状態で訳のわからない道だ。その道を突き進む山本譲司の決意表明、それこそが本書の存在である。
国会議員から刑務所へ転落して、どん底から少しずつ社会復帰してくる作者の「破壊と再生の物語」とでもいおうか。なんか村上春樹っぽい感じだが、これがフィクションではなくリアルな物語であるから、説得力と共に感動することになるんだよな。

続 獄窓記

続 獄窓記