「白夜」ドストエフスキー

ドストエフスキーといえばカラマーゾフの兄弟のようにやたらと長い小説ばかり書いている人というイメージが強い。でも本書のような短編も書いていたんだと手に取ってみた。100ページほどだったのですぐ読めたのだが...非常に後味の悪い物語である。
サブタイトルに「感傷的ロマン」「ある夢想家の思い出より」とあるが、どんな甘美なものはない。少なくとも自分には感じられなかった。読後の印象としては....
何じゃこの女、酷い!!最低だ
ってなところだ。
「ある夢想家の思い出より」とあるからコレもドストエフスキー若き日の思い出なのであろうか?まあソレをベースにして書かれていないわけではないだろうと想像しよう。
橋の上で偶然であった少女に恋した主人公。これまたたまたま通りがかった男に少女がインネンつけられて、ソコを主人公が助けるという、ご都合な展開で恋に落ちるのだが、少女には過去に好きにな理将来を誓い合った人がいた。ソレを承知で、それでもまたあってくれないかと、それから毎日同じ場所で待ち合わせをする。身の上を話す少女に同情しながらも、何とか自分の気持ちを伝えることができた主人公。そこで少女もまんざらでもなく、じゃこれから二人でやっていこうではないかと言うことで話が決まりかけていたところで、少女の元カレ登場。そのまま少女はその彼と立ち去る。主人公おいてきぼりのひとりぼっち。後日少女から手紙が来る。あなたのことは今でも大切に思っていますから、嫌わないでください〜だと。
さあどうだ、コレでも感傷的ロマンか?そんな少女が好きか?ナニきれい事ならべていやがる。いっそ恨むなら怨め。あるいは無視。ソレが人の道ってもんだと思うが、どうだ。
ロマンチックな文章ではあるが、怒りに燃える自分は屈折しているのかもしれない。
ま、上等だ。

白夜 (角川文庫クラシックス)

白夜 (角川文庫クラシックス)