「出星前夜」飯嶋和一

前作「黄金旅風」からどれくらい経っただろうか、ようやく新作が出た飯嶋和一。もっとも出たの去年の夏だが、図書館で貸し出しの順番を待っているうちにこんなにたってしまいました。いっぺんに読んでしまうのはもったいないので、毎日一章ずつ読んでいたのだが、半分読んだところで心の堤防が決壊。残りの半分は一気に読了。
ぷは〜
イヤあ、もうおなか一杯です。本当に「飯嶋和一にハズレなし」だわ〜てか、これ本屋のPOPにあったが、最初に言ったのは俺だからね!!(←どうでもいいことだ)
ところでコレ前作「黄金旅風」と物語の舞台が近い。時代も前作よりもちょっとあと。何となく続編かと思ったが、そんなことはなく主役は別の人でした。でも物語のそこかしこに前作の主役「末次平左衛門」(長崎代官)が出てくる。登場人物表の二番目に書いてあるのでかなり重要な人物かと思ったけど、コレといった活躍はなかった。「寿庵」と呼ばれる若者と「鬼塚監物」という強者が主役らしい...まあ、主人公が一人ではなく集団になるのはよくあることだ。
藩の圧政に苦しむ農民たちがついに一斉蜂起する。時期を同じくジェロニモ四郎(天草四郎?)という島原の青年もキリシタンをとりまとめ一斉蜂起。後に島原の乱と呼ばれる事変が勃発するのであった。かいつまめばこんな話だが、ソコは登場人物たちが入り組み、敵味方双方の思惑が交錯して、単純な一揆と思われていたものが、アレヨアレヨと戦乱状態まで発展してしまう。体制側の無能ぶりを徹底的に書き尽くしている物語は、組織の原理、原則を優先し、気がつけばとんでもない状況に追い込まれているどこかの国の政治家さんに似ていなくもないぞ。
なんかスゴイ思い入れたっぷりな作品なのに、感想が非常に少ないけど、昔から好きな女の子の前ではうまく話せないタイプなんすよ、自分。(←おいおい)

出星前夜

出星前夜