「賭博者」ドストエフスキー

怒濤のドストエフスキー三連発。自分は最近ドストエフスキーしか読んでいないのか?はい、その通りです。しかもこの本は地元図書館になく、遠く東京千住の区立図書館や、長岡の中央図書館など、行く先々の図書館の蔵書をその場で読了するという、自分的には前代未聞な方法だった。正直、書店で購入した方がよかったよ。おかげで読了までエライ時間かかってしまった。
今までも「怒濤の狂騒状態」などと表現してきたドストエフスキー作品だが、その中でもコレはもう「狂騒のための狂騒」しかないのではないかと思えるほどのくるいっぷりである。
将軍と呼ばれる財産家の家庭教師に雇われている主人公が、将軍の取り巻きに連れられカジノへご旅行なのだが、そこでハマったルーレットの悪夢。表面的にはそんなところだが、そこは財産目当てに将軍と結婚をもくろむ女。演劇的演出で美女をたらし込もうとするフランス人好男子。瀕死の状況と思われていたのが一転、突然元気を回復してカジノに乗り込む資産家の老婆。カジノを取り巻く怪しいポーランド人。あるいは乞食。
主人公は、フランス人にたらし込まれている美女に首っ丈なのだが、ほとんどからかわれるばかりで相手にされない。それならばといろいろ将軍御一行の迷惑になる事ばかりをしでかし、めでたく家庭教師をクビになる。そこを資産家の老婆に何とかしてもらうのだが、この老婆がまたとんでもない事にカジノにハマってしまい。とんでもない金額を散在してしまう。老婆の遺産をあてにしている将軍は真っ青。その遺産が入ることを前提といた彼のフィアンセとは破局。やがてフランス人もトンズラ。なんか訳がわからないうちに美女はフランス人に捨てられてしまう。主人公はチャンス!!それじゃと一念発起(というより根拠のない自信、というか狂気)して主人公はカジノへ出向くのであった。
ココまで書いて、さっぱりなにを書いているのか自分でも訳がわからない。このドタバタはいったい何なんだ?
ホント、読んでいると頭がぼーっとしてくるほどの強烈な一冊だ。
さて、最近の自分を省みると、これだけドストエフスキーにはまるということは、それだけ何か自分を引きつける魅力があるのだ。考えてみた。今まで読んだ本の中で、コレに似たような狂騒なもので、自分がはまってしまったものはなかったか?
あ、あった!
町田康の「告白」だ
あのパンク作家のパンク小説。狂騒の中でトチ狂う主人公をはじめ、まともな精神をしている登場人物が一人もでてこなく、どいつもこいつも破滅の海になだれ込むレミングかよといわんばかりのハチャメチャ小説。
そうかドストエフスキーはパンクだったんだ。やあ〜やっと長年の懸念がすっきり晴れた思いだ。やれやれ。

賭博者 (新潮文庫)

賭博者 (新潮文庫)