『魔都』久生十蘭

久生十蘭に100ページ以上の作品を書かせちゃダメだ。
てなわけで、何だかよくわからない事件が多発してよくわからないうちに終わってしまった。さわかな読後感とか、謎解きのカタルシスなどを求めている人にはお勧めしない。自分の場合、途中でしばらく放りだしてしまっていた。結局読了まで一年以上かかってしまった。
主人公は存在感稀薄な新聞記者。推理はずしまくりの名探偵警部。本当に王様か?と言うような、某南国の王様。ほんものとにせものの王様が錯綜する高級ホテル。巨大なダイヤに飛び降り自殺。歌を歌う鶴の彫刻がある公園に大挙して集まる群衆。そこに屋台なども沢山あらわれ、さながらお祭り。いつのまにやら迷宮と化した東京の大地下。
などなど、なにやら怪しい複線が大量に張り廻らされているのだが、果たして回収し切れているのやらどうやら。
初出は連載小説だったようだが、久生十蘭に連載頼んじゃダメだ。
その昔「真説鉄仮面」ってのを読んだときにも感じた、お話し途中での「投げっぱなし感」ちょっと私にはマニアックすぎてついて行けない...長編はヤメヤメ。今度は短編を読もうっと。

魔都―久生十蘭コレクション (朝日文芸文庫)

魔都―久生十蘭コレクション (朝日文芸文庫)