で、芥川賞ですが

 「蹴りたい背中綿矢りさ。読了。正直ぬるい。特に「蛇とピアス」の後に読んだら(実際文芸春秋では掲載ページが後)この物語のぬるさがたまらなく気になる。文章も「蛇とピアス」の方がかなりうまそうに思えるし、何より人生の重みが段違いだ。と、ここまでこきおろしておいて言うのもなんだが、自分的には「蛇とピアス」よりこっちの方が断然スキだ。技術が勝っているモノがかならずしも好きなモノとは限らない。
 奇しくも前出の「物語の体操」のなかで述べられていた、二種類いる小説家。英語を話す人にたとえて「ネイティブスピーカー」と「努力して後年英語を話せるようになった人」このことがドンぴしゃだ。
 もちろん綿矢りさがネイティブスピーカーだ。
 先日偶然読んだ「NHKにようこそ」滝本龍彦...これがまるで「蛇とピアス」と「蹴りたい背中」のミッシングリンクのようだ。閉塞感のある社会との強調点を見いだせず、どんどん社会の枠外へはみ出して行く人間像。その初級編、中級編、上級編。ま、そんな単純な事ではないのだけれども、それをふまえた上での暴言と言うことで、しめくくらせていただきます。
 審査員が言った「60歳になった彼女たちがどんな作品を書いているか気になる」うむ、至言
 どうでもいいが、そのころには審査員の誰一人生きていないような気もするが...オマエモナ