特にアファリエイトというわけではないのですが

 この土日週末には本を読みました。



戦争のルール
井上 忠男
「戦争のルール」井上忠男
 戦争にルール?ルール?がないから戦争じゃないのかというのは子供の考え。人間というのは基本的にオロカで救いがたい存在であるから、そこにはルールが必要になる。理想論を述べている本ではなくて、実際に議定書という形で発行されているルールなどいろいろ紹介されている。この本を読むとイラク戦争で使われた数々の最新兵器が限りなく人道的に問題ある兵器であることがわかる(かもしれない)
 そんなえらそうなことを言うつもりは全くない。それよりも自分が知らなかった戦争のルールの具体的で子細な実例がたくさん載っていて、参考書としてはなかなか素晴らしい。振り返って自分が知っていた戦争時のルールといえば「捕虜虐待の禁止」「ABC(NBC)兵器(核、生物、科学兵器)の禁止」あとなぜか「ダムダム弾の禁止」(自分の場合「ワイルド7」あたりの影響ではないかと思うが?)位しか知らなかったが、ものすごく事細かに設定されていた。目から鱗の内容である。将来日本が戦争状態になった時のための貴重な教科書として小学校で勉強するのが良いと思う。一番意外だったことが「上官の命令でも、人道上ゆるされない行為をしてしまった場合は処罰対象となる」つまり、どのような極限状況でも人間の尊厳を失ってしまっては処罰対象になると言うことだ。そこまで人間の尊厳を考える機会がないであろう自分には、なかなか想像しかねる状況だが、本気で考えて見る価値はかなりあると思う。
 本書はなるたけかみ砕いた文章を用いてジュネーブ条約などを解説しているのだが、内容が内容だけになかなか取っつきにくい。自分も完全に理解出来たかといえば「?」である。手元に置いて繰り返し読み返すべき本なのであろう。ただ如何なる場合においても「テロ」はイカン。


インストール
綿矢 りさ
今頃読んだのかいと、ツッコミは無用。そんなに流行を追ってばかりの人生ではくたびれてしまいます。表紙にイラストされている、なんか悪意に満ちあふれているような女子高生が、きっと主人公なんだろうな。この小説を発表したときは作者も高校生だと思ったけど、高校生の小説にしては、おもしろかった。作者はきっと思い入れが主人公より、その友人の妙にませた小学生の方にあるのだとは思うが...ショタコン芥川賞受賞作に比べると、どっちがどうということもないが、あまりに過剰に作品が評価され過ぎちゃったので、次回作大丈夫かなと、人ごとながらに心配してしまう。
 内容は、女子高生が人妻のフリをして出会い系チャットでアルバイトする。ついでに小学生(男子)も同じように人妻のフリをする。逆は(人妻が女子高生のふり?)はよくありそうだが(←そうか?)そうやってどんどん引きこもりの生活に落ち込んで行く。気がつくと立派なヒッキーだ。
 最近読んだ若き旗手の文学作品...「NHKにようこそ(滝本竜彦)」「太陽の塔」「蹴りたい背中」にしても根っこはなんか同じで、自分の立ち位置をうまく見つけられなくて、右往左往している若者群像という大きなくくりでまとまりそうなのだが。とはいえこのまとまりを突破するには「戦争」「薬」「人格崩壊」などなど、ろくでもない状況が必要になってしまう。それこそ敗者(廃者)復活のための純文学...となってしまうであろう。現状でもそのようだし、それを否定するつもりはないのだが、純文学の究極を突き詰めようとすると、そこへたどり着いてしまって、あげく自殺(最近もあったが)じゃシャレにならない。どこかでフィクションとノンフィクションとの線引きが必要であろう。
 最近読んだ職人エンターテイナー作家「松岡圭祐」の偉さがわかった。とはいえ純文学が嫌いというわけではない。キライどころか大好き。