こんな時に読書だなんて

 仕方ないのです。テレビは朝からどのチャンネルも特別番組で地震のニュースを延々続けています。始めは地震の状況もわからなかったし、とにかく情報収集ということで延々見続けていたが、サスガに疲れちゃいました。
 で、暇つぶしの読んだ本がこれ「家畜人ヤプー第一巻」沼正三...こりゃ暇つぶしに読む本ではなかった。かなり陰鬱で陰惨でブラックな気分になります。今更ないようを説明するまでもない本ですが、これだけ有名な本なのに案外誰も読んでいない本なのではないかと...例えばハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」とか。自分も読んでないけど...
 幻のSM雑誌「奇譚クラブ」に長期連載された奇書。いろんな評判があるが実際自分で読んでみて、これはSM小説というよりSF小説のようだ。スペキュレイティブ、思索実験小説。自分の心の中で組み立てた世界観を文章表現するとでも言えばいいのか...思考実験みたいなものか。とにかく妙に細かな世界観を構築して、それを丹念に丹念に書きつづっている。おかげで肝心のストーリーの方はなかなか進行せず。「未来人に未来に連れ去られた男女が、女はともかく、男はエライ目に遭う」という話だ。とりあえずSM小説とうたっているから、エロい描写でも延々続くのかと思ったのだが...延々気が滅入ってくるような陰惨なヤプーの世界観を読まされ、とてもじゃないが地震報道番組ばかりテレビはやっているから本でも読もうかと、軽い気持ちで読む本ではない。でも第一巻は読み終えちゃいましたけど。
 自分の持っている本は幻冬者アウトロー文庫版なので、全五巻である。こんな話があと四巻も続くのかと思うと、読むのもうやめようかと...実は二巻までしか持っていないのですが。サスガに図書館には蔵書されていないでしょう。とにかくこんなに重苦しい本を漫画化しようなどと、とんでもない仕事をやってしまった石ノ森章太郎江川達也は超常的パワーに満ちあふれた漫画家に違いない。石ノ森版は昔ぱらぱらと読んだことはあった。サスガにくたびれそうなので江川版はちょっとよそうかなと...マンガ喫茶あたりであれば読もうか。
 さて、めいっぱいめげてしまったので、ここは一つ痛快な娯楽作品でも読んですっきりしようと読んだ本がこれ。