「刑務所の前2」花輪和一

生まれる国を間違えた男、花輪和一。もしアメリカに生まれていたら世界一の拳銃職人になっていたのじゃないか?執拗に描写されるガバメントの修復作業の描写を見るにつけ、漫画家より拳銃職人の方が絶対あっていると思わせる。ルイ16世が王様に生まれていなければ世界一のカギ職人になっていたであろうと同じように...かのギロチン処刑台。その昔ギロチンの刃は地面に対して水平にセットされていた。それを見たルイ16世は「アレではよく切れないから、斜めに刃をセットするべし」と勅言をくだされた。果たしてその通り、切れ味はすばらしく向上したのだが、そのギロチンで自らがクビをはねられたのは、歴史の皮肉である。
名作「刑務所の中」にて、趣味のモデルガンがこうじて本物の銃刀法違反してしまい刑務所に送られた花輪氏の懺悔の一冊として「刑務所の中」を補完する作品だと思っていた、この「刑務所の前」だが、すでに独立した作品として、とどまるところを知らない怒濤の因業描写には、再び銃刀法違反しちゃうんじゃないのかと思わせる気迫を感じる。
間違いなく名作。ナニをさしおいても読むべし。

刑務所の前 (第2集) (Big comics special)

刑務所の前 (第2集) (Big comics special)