「迷路館の殺人」綾辻行人

昼間は仕事、終業後メールチェック。たまにコインランドリーで洗濯というハードな出張生活にもかかわらず、読書はやめられません。目玉は相変わらず真っ赤に充血。これじゃ老眼はやいよ...
もうミスディレクションはいいです...
ハサミ男」という小説を読んだとき、内容の面白さに惹かれたものの、ほとんど反則気味のミステリにちょっと憤慨したものだが、そうかそのルーツはこの館シリーズにあったのだなと再確認する一冊。ミスディレクションが二重三重に張り巡らされていて「もう勘弁してください」状態である。やはり自分には、根本的にミステリーが好きになれない体質なのかもしれない(とはいえ今回の出張本は全部ミステリー)
このように散々文句を言っている割に綾辻行人の本を読み続けているのは、綾辻行人の奥さんが小野不由美だから彼の文章がそれほど嫌いではないからだ。いやはっきり言って好きだ。とても好感の持てるいい文章だ。名文と呼ばせてください。本当に心からミステリーを愛してやまない人なんだなと。今考えてみると前回の出張で読んだ「暗黒館の殺人」も面白かったではないか。ミステリーとホラーの華麗なる融合(ほめすぎだって)いやまあ、そのうちに彼の館以外の作品もきっちり読んでおかなければと、猛省中。
ところで、今回の作品から初めて「鹿谷門美」登場。実は館シリーズを「時計館の殺人」から読み始めてしまうというとんでもないことをしてしまったので、いつの間にか探偵役が変わってしまっていたことに疑問を感じていたのだが、少しだけ解消。何せ「十角館の殺人」では「島田潔」と名乗る男が探偵をやっていて「?」だったのだ。つまりその名前。いくらなんでも「島田潔」はないだろう。もちろん皆さんご存知島田荘司作品に登場する「御手洗潔」からの引用であるが、島田荘司にリスペクトしていたとしても、あまりにもストレートすぎるひどい名前だ。確か綾辻行人本人もどこかのあとがきで「あの名前はもう少しちゃんと考えるべきだった」と告白していたのを覚えている。
ひょっとして、この「迷路館の殺人」は不肖の名前を授けてしまった名探偵の改名儀式のために存在した作品なのであろうか?うっかりつけてしまった作中登場人物の改名とは、之ほどまでに大変な作業だとは...綾辻行人先生には頭がさがりまくりです。
...どうも「迷路館」では改名が完全になされていないようです。次作「人形館の殺人」活目して読むべし。

迷路館の殺人 (講談社文庫)

迷路館の殺人 (講談社文庫)