「暗闇の中で子供」舞城王太郎

まだ懲りずに舞城王太郎を読んでいる。いい加減やめろよ。とはいえこれは前作でもある処女作「灰か土か食い物」の続編で比較的読みやすかった。
これは「ハンニバルトマス・ハリスへのオマージュ的作品なのだなと...トマス・ハリス読んだことないけど。「正直誠実寛大」という舞城王太郎ワールドにおける重要なキーワードが初登場(だったかな)する。このころの物語の破綻の仕方はまだそれほどむちゃくちゃではなく、小説の体裁をちゃんと取っていて取っつきやすかったのであろう。それでも普通の小説にくらべたらむちゃくちゃである。だいたい物語のラストで絶体絶命の三郎を助けたのは一体誰なのか?もうココまでくると誰でも良いのだ。
とりあえずミステリの体裁を取ってはいるがミステリではない。文学作品...なのか?
ひょんな事から演技性PDの少女と知り合い、その少女の面倒を見るハメになる三郎だが、自傷、他傷を繰り返す少女に三郎は身も心も疲れ切っている。そんな中、繰り広げられる謎の連続殺人事件。その死体は切り刻まれたり、突き刺されたりして、何かを意味するように見立てられてはいるが、全く謎である。この謎を解き、意外な真犯人が現れ...などという普通の展開を舞城王太郎がするわけもなく、ただただこの少女の痛い行動だけが延々続くのである「ほら、こんなひどいことする私でもあなたは愛してくれているの?」と常軌を逸した行動がエスカレートするPDのステレオタイプ。これは正直読んでいて辛いのよ。
でも読んじゃったけど。
毒をくらわば皿までも。さて次はどの舞城王太郎を読もうか?「世界は密室でできている」あたりか?

暗闇の中で子供 (講談社ノベルス)

暗闇の中で子供 (講談社ノベルス)