「ゴシッック・ハート」高原英理

タイトルだけみて「ゴスロリ満載」と思った方、残念でした。そりゃゴスロリって二回くらい文字が出てきましたが、基本的にこの本はゴシックとはなにかを解説した本です。いまさらながら「ゴシック」をどう日本語に翻訳したらいいか、ソレは「萌え」をどうやって英語に訳せばいいかと同じくらい難しい問題である。
結局そこかい。と、思われた方も多いだろう。イヤその通りなんだけど。つまりこれはこの前読んだ「萌え萌えジャパン」と表裏なす内容。主に扱われているテーマは「中井英雄」「江戸川乱歩」「エドガー・アラン・ポー」「三島由紀夫」サド、キング、海野、梅図、四谷、永井、庵野...など「ああなるほど」なラインナップ。最近この手の話題では欠かすことの出来なくなっているカウンターカルチャー系なあれこれをふまえながら古典文学における「ゴシック」を解説する。特に「なるほど!!そういった切り口があったのか」と膝を打つような文章はないのだけれど、ちょっと難しそうな文章で紹介されると、萌え周辺の文化も何となく理論武装できていいんではないか?という一冊。
カッコつけている分「何をいまさら感」が増してしまうのだけれでもの、こういった本を読まないであろう大きなお友達に「ほらこれでも読んで勉強しろ」と差し出すと、カッコイイかも。
イヤ、自分はそんな使い方はイヤ。

ゴシックハート

ゴシックハート