「獄門島」横溝正史

言わずとしれた横溝正史の最高傑作。ミステリのオールタオムベスト(でた!)に未だのってもおかしくない作品。
なのだが...あんまりおもしろくなかったです。ショボン。
最近のとんでもないミステリばかり読んだ身には、ちょっときついです。日本の家長制度や因習に縛り付けられた動機による奇っ怪な連続殺人事件を、やっとこさっとこ名探偵金田一耕助が解決するのだが、意外な犯人はちょっとこじつけすぎはしないかと?ちょっとアンフェアな気がする。
むしろ犯人やアリバイトリックより、やはりソコはもっとドロドロの人間関係を深く書き込んで欲しいモノだと。
この辺が未だに「乱歩最高!!」「小栗虫太郎わけわかんねえ!!」などと言いつつ喜んで読んでいる自分にとってかなりものたりないモノがあるのだ。そうはいっても現在でも普通の小説として十分読むことができる文章は、やはり名文と言わねばなるまい。
自分の中学生時代。世は角川映画大ブームの時代。「犬神家の一族」を皮切りに次々と映画化されていった横溝作品だが、当時自分もご多分に漏れず横溝作品をかなり読んだモノだった。そのころはどちらかというと犯人当てクイズのような読み方しかできなかった。数ある探偵小説作家の中でも比較的取っつきやすいのが横溝作品なのであろうし、映像化もしやすいのだろう。これが小栗虫太郎なら、不可能。あり得ないって。
物語のラスト、島の女性にプロポーズしてあっさり断られた金田一耕助の描写にしても、あまりになんの複線もなく、唐突すぎて、ちょっと興ざめ。
ま、ソレはともかく、アノ名探偵がプロポーズしていたなんてちょっとビックリした。
とまあ辛口書評になってしまったが、実はコレに懲りずに「八つ墓村」を広島市内の古書店で買ってしまった。コラは確か推理モノじゃなかったと思うので、実は期待している。

獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

いや、自分が読んだのはこのバージョンではなくて、背表紙が黒地に緑文字の昔のやつです。