「瓶詰の地獄」夢野久作

一年ほど前に図書館からもらってきた夢野久作の角川文庫版4冊はすべて読んでしまった。いままで読んだ中ではこれが一番おもしろかった。
とはいえ「瓶詰の地獄」は東京創元社の「夢野久作集」にも収録された傑作なのだが、どうも自分的にはいまいち。率直に言うと訳がわからない。なんか、この作品を絶賛しないと行けない空気のような物が探偵小説ファンの間で渦巻いているのではないのだろうか?ちょっと前に映画化の話があったような気がしたが、その後どうなったのだろう?多分映画化しても「くりいむれもん」になっちゃうんじゃないかと...いや、自分は見たことないけど。いや、ほんと見たことないって...
よく考えたら夢野久作って「ドグラマグラ」以外は全部短編じゃないかな?今回読んだ四冊とも全部短編集だし。でも短編の方がうまくまとまっていて、山椒は小粒でピリリってなかんじでいいぞ。
収録作品だけれども
「人の顔」不倫を子供に見つかってしまった母の反応。子供は幼児なので無邪気なもの。焦るのは大人だけ。
「死後の恋」夢野久作お得意のロシアもの。ロシア革命時、ロイヤルファミリーの末路は...
支那米の袋」『しな』を変換しようとしたら、一発変換できなかった。放送禁止用語かもしれない。すべての男女の快楽を尽くしてしまった二人が最後に行き着く究極の愛の行為とは?なんかアイルケのあおりみたいだが、ソコは夢野、男にダマサレテ、袋に詰められて、売り飛ばされそうになるロシア娘の運命はいかに。どうも夢野先生はロシアがお得意のようです。
「金槌」「一足お先」「冗談に殺す」つまり探偵小説ってのはシュチュエーションにどれだけこれるかであって、結末はオマケなのだよ。悪は栄えるかもしれないし、正義は滅びるかもしれない。でもま、人生は一度切り出し、生まれてからには生きてやる!ってなものカモしれない。
でもまあ、ナニが一番うれしかったって、この角川文庫版「瓶詰の地獄」が近所の古本屋で¥1,200-で売られていたのを発見したときだな(←おいおい)

瓶詰地獄 (お風呂で読む文庫 21)

瓶詰地獄 (お風呂で読む文庫 21)

いや、コレじゃなくて自分の持っているのは角川文庫版のこれ(当然廃盤)