「坂の上の雲」司馬遼太郎

そういえば「読了したよ」とは日記に書いてはいたものの、感想は書いていなかったことに気がついた。何せ長い物語だからどこから書いてよいものかわからなくてねえ。まあ適当にだらだら書く。
確か何年も前からNHKでコレをドラマ化する話があったと思ったが、待てど暮らせど放送される気配がない。本当に作っているのかNHK?この文庫本が最近ようやく書店で全巻平積みされるようになり、そのオビには「ドラマ化決定」とあり、配役が記されていた。ソレによると秋山古好が阿部寛秋山真之本木雅弘。どことなく狂気漂う二人の主人公にはピッタリではないかと思う。
さて物語前半は彼らに加え「正岡子規」がいるのだが、ご存じの通り肺結核で若くしてなくなったため早々に退場してしまった。彼を含めた三人の青春模様風に話が進んでいったので、2巻くらいで退場したのにはビックリだ。作者もこんなに早い時点で死んじゃうとは思ってもいなかったのではないか。それくらい物語が長くなってしまったのであろう。なんでこんなに長くなってしまったかというと「乃木希典(のぎ まれすけ)の無能ぶり」と「バルチック艦隊、死の彷徨」が異様に長いのだ。
近代日本の夜明けを子規と秋山兄弟を絡めて描くはずが、こんなところからどんどん物語が肥大化していったのであろう。そんなものだから最終決戦の「日本海会戦」が妙に淡泊な印象だ。もっとも、大苦戦を予想していた日本海軍だが、案外あっさり決着がついてしまったものだから、淡泊にならざるを得ないであろう。
つまりそれくらい日本海までの航行でバルチック艦隊が疲弊してしまっていたのだねえ。コレつまり肥大化しすぎてメンツばかり重んじる官僚主義の敗北であると本書は言っている。
乃木希典の無能ぶりってのも官僚主義と同じようなものだ。上司は選べない。大将が無能だととんでもないボリュームで死人の山のできあがりだ。本書には出てこないが、確か乃木将軍って、このあと明治天皇崩御の際に妻を伴い殉死したんじゃなかったっけ?Wiki参照。自分なりの考えだけど、あれだけ犠牲者を出した日露戦争での旅順攻略戦。ひょっとして、そんなことから贖罪の意味も込めて、自分にふさわしい死に場所を探していたのではないのかなあ...しかし殉死するのは、まあ、個人の自由だが、奥さんまで一緒に死ぬことはなかろうと現代人の自分は思うのだ。大将さんはひょっとして最期まで一人でできないチキンさんだったのだろうか?(こんな事書いて団体圧力かからなければいいけどと、こっそり思う、俺もチキン)
今日はこんなところで。また続きを気が向いたら書きますんで(←いつになることやら)

新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫)