「黒猫・黄金虫」エドガー・アラン・ポー

子供の頃から何度か読んだ本だけれども、また読んでしまった。どんな内容かすっかり忘れてしまっていたので、新鮮な気持ちで読めて、お得。何といっても圧巻は「黄金虫」ズバリ!シャーロック・ホームズの短編「踊る人形」のモトネタである。コレに出てきた暗号の記号を、そんまんま人形が踊る形の記号に置き換えただけでなんの工夫もないパクリ。それに比べて元祖ポーの方は、キャプテンクックの隠された財宝伝説を絡め、召使いやら友人やらがキャラ立ちまくりでサスペンス満載の大傑作となっているのだ。
あとは「黒猫」「ウイリアムウイルソン」「アッシャー家の崩壊」とかあるのだが、趣あふれる怪奇描写がその後にラブクラフトなんかに影響を与えたのだろうなあ。
ポーというと、どうしても子供時代にあった土曜映画劇場で放映された作品が忘れられない「早すぎる埋葬」と「ウイリアムウイルソン」ともう一つ、三本立ての短編映画があり、怖すぎて夜寝られなくなった。多分ロジャー・コーマンの作品だと思う。
最近はこうした古典の記念碑的作品を中心に読んでいる。こうしてみると自分の読書って、幼少時代の不完全な記憶を補完するための作業なのかもしれないなあ。それにしてもポーが活躍していた頃(というか、かなり不遇な人生で、生前は鳴かず飛ばずで早死にしたみたいだけど)日本はまだ江戸時代。その短い人生を閉じた頃というのは、ペリーが黒船でやってきた頃そんなわけで最近はアメリカっていう国のでかさを再確認している今日この頃なのだよなあ。
どうもラブクラフト以来、アメリカかぶれになってしまったようだ。

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)