「闇の左手」アーシュラ・K・ルグィン

実は高校生の頃にすでによんではいたのだが、当時はまだ若く、内容もサッパリ頭に残っていなかったので、今回はきっちり読み直してみた。
読書前は「う〜ん、両性具有の住民で構成されている惑星に、調査にやってきた地球人(男)か...SF的BL小説か?」
などというゲスな考えを軽く吹き飛ばす。
物語はゲセンと呼ばれ調査員達は「惑星、冬」と呼ぶ独特な環境なその惑星の住民達の世界観を緻密に構成している。
いや〜もうちょっと高校時代に真剣に読んでいればよかった。
なんかカフカ的不条理な世界というか。でもカフカより、ちゃんとお話しが終了しているので読みやすい。こういった異世界ものでは作者が創造した言葉が飛び交う(砂の惑星火星のプリンセスのように)のが普通だが、それに慣れてしまえば、物語に引き込まれてしまう。こういったぶっ飛んだ異世界モノはキライどころか大好物だ。
ま、物語全体を覆う暗く重い空気感は、きっとルグィン独特のモノなのだろうなあ。ほんとうに超傑作。
うん、ゲド戦記も読まなきゃ。
実は高校時代には同じ著者の「天のろくろ」(コレも超不条理)も読んだのだが、こちらは再販に関して問題多々ありのサンリオ文庫だから、読み直すのはかなり難しいだろうなあ。内容もすっかり忘れ果ててしまった。

闇の左手 (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

闇の左手 (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)